母へ恋人へ…特攻隊員の遺書 ウクライナ侵攻の今だからこそ平和の大切さを 新宿で「特攻隊員が遺した言葉展」
2022年5月29日 07時08分
新宿区の新宿住友ビルにある平和祈念展示資料館で「特攻隊員が遺(のこ)した言葉 知覧特攻平和会館所蔵資料展」が開かれている。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続く中、担当者は「今だからこそ、より多くの人に戦争の悲惨さと平和の大切さを感じてほしい」と来館を呼びかけている。(竹島勇)
特攻隊の出撃基地だった旧知覧飛行場の一角に建てられた知覧特攻平和会館(鹿児島県南九州市)との交流事業の一環。同会館は第二次世界大戦末期、沖縄戦で爆弾を装着した航空機に兵士が搭乗したまま敵の艦船に体当たりする「航空特攻作戦」に出撃した千三十六人の遺影や遺書などを展示。特攻隊員は十七歳から三十二歳で平均年齢二一・六歳の若者たちだった。
今回の資料館の展示では、会館所蔵資料から特攻隊員十五人が母親ら家族や恋人に宛てた手紙や遺書を解説を付けて紹介している。
十九歳の隊員は出撃前夜に書いた母親宛ての遺書で「泣かずによくやったと仏前にだんごでも具(そな)えて下さい。(中略)母様 藤夫は笑って征きます。元気で さようなら 藤夫」と記した。
二十三歳の隊員は婚約者に宛てた最後の手紙で「智恵子 会いたい、話したい、無性に」と切ない思いを率直に伝えていた。手紙の脇には、隊員が戦闘機「隼(はやぶさ)」に搭乗し、隊員支援のため当時の知覧町立高等女学校生徒でつくった「なでしこ隊」が桜の枝を手に見送る出撃時のものとされる写真を掲示している。
資料館の高倉大輔学芸員は「特攻出撃を直前にした若者たちが大切な人に伝えた言葉はいずれも重い」と話す。七月三日まで。入館無料、月曜休館。
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