<各駅停車>サーリャとルビー

2022年5月29日 07時26分
 埼玉に暮らすクルド人の姿を描いた映画「マイスモールランド」が今月から公開されている。「難民鎖国」と言われる日本の現状を映し出す作品だが、別の側面から捉えることもできる。主人公がヤングケアラーなのだ。
 母親がいない家庭で小さな妹や弟の世話をする。日本語が苦手な同胞たちのコミュニティーで通訳や雑事も引き受ける。十七歳の女子高校生サーリャには、さまざまな責任がのしかかる。
 今年のオスカーに輝いた「コーダ あいのうた」も、ヤングケアラーの物語だった。ろう者の両親のもとで育った少女ルビー。大人になっても家族の手話通訳として生き続けるのか、自らの夢を追いかけるのか。心は揺れる。
 彼女たちには幸い、気にかけてくれる仲間や先生がいた。その存在がなければ、全く異なるストーリーだったに違いない。困難を抱えた子どもに周囲がどう寄り添うのか。重い課題がスクリーンから投げかけられている。(近藤統義)

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