喫煙列車、消える 改正法施行迫り 最後の近鉄、今月終了

2020年1月28日 16時00分

近畿日本鉄道の特急列車の喫煙車両

 近畿日本鉄道が、座席でたばこが吸える特急列車の運行を1月いっぱいで終える。同社によると、新幹線を除くJRの在来線や私鉄で喫煙車両がある最後の列車だった。利用者は「なくなるのは困る」と残念がる一方、「廃止は当たり前で、当然の流れだ」と話す嫌煙家もいる。
 一月中旬、座席の肘掛けに灰皿を備えた近鉄の特急車両が鶴橋駅(大阪市)に止まると、約十人の男女が乗り込んだ。男性の一人は席に座るなり我慢できないといった様子で一服。手にした缶コーヒーを一口飲み、落ち着いたのか、動きだした車窓を眺め二本目に火を付けた。
 九州鉄道記念館(北九州市)副館長で鉄道の歴史に詳しい宇都宮照信さんによると、列車内でたばこが吸えるのが当たり前だった時代を経て、一九七〇年代後半~八〇年ごろに分煙意識の高まりで禁煙車両と喫煙車両が登場。その後、健康ブームに後押しされる形で喫煙車両は少なくなり、二〇一〇年以降に急減。代わりに「喫煙ルーム」が導入され始めた。
 近鉄の現在の喫煙車両は計二十両で、六〇年代後半~七〇年代に製造された「12200系」。他社との違いを出すため京都や大阪などと名古屋、三重県方面を結ぶ特急で使用している。飲食店や鉄道などが原則禁煙となる改正健康増進法の全面施行が四月一日に迫り、廃止を決めた。今後、これらの特急には喫煙ルームを設置した車両を採用する。
 喫煙車両に乗った奈良県田原本町の無職男性(73)は「高いたばこ税を払っているのでもっと優しくされてもいい。どこで吸えばいいのか」。三重県尾鷲市の会社経営の男性(71)は「喫煙ルームは席に置いたままの荷物が気になって落ち着いて吸えない」と弱り顔で話した。大阪市の七十代の無職女性は「たばこを吸うことで、いいことは何一つない。かわいそうだけど、やめたらいい」と、ばっさり切り捨てた。

喫煙車両がある「12200系」

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