軍に志願する兵の年齢上限を撤廃 ロシア 兵力補充を急ぐ ウクライナ侵攻での甚大な人的被害が背景か

2022年5月29日 19時12分
ウクライナ侵攻で戦った兵士らも参加した5月9日の軍事パレード=モスクワの「赤の広場」で

ウクライナ侵攻で戦った兵士らも参加した5月9日の軍事パレード=モスクワの「赤の広場」で

 ロシアのプーチン大統領は軍志願兵の年齢上限を撤廃する法案に署名し、同法案が成立した。政府が28日発表した。18~40歳のロシア人と30歳までの外国人が志願兵として契約できる仕組みを緩和する。ウクライナ侵攻で甚大な人的被害が出ているのを背景に、兵力補充を急ぐ狙いとみられる。
 法案は20日に下院で審議入りし、上下両院が可決していた。独立系メディアメドゥーザによると、ロシア国防省は体力などを考慮し、50歳までの入隊志願者を受け入れる方針。
 重火器の利用拡大に向け、機械の扱いに通じた壮年層を兵力として活用する意図があり、法案を提出した議員らは「精度の高い兵器の使用には高度な専門家が必要だ」と主張した。工兵や医療、通信分野にも専門家を集めるとしているが、地上部隊の損失の穴埋めの狙いも大きいとみられる。
 ロシア国防省はロシア軍人の被害に関し、3月下旬に死者数を「1351人」と発表して以降、数字を更新していない。一方、ウクライナ国防省はロシア軍は既に3万人の死者を出したと主張。英国防当局も戦況報告で、ロシア軍は旧ソ連のアフガニスタン侵攻(1979~89年)の犠牲者に匹敵する死者数が出ていると指摘した。
 ロシアで「体制内野党」と呼ばれる「公正ロシア」のミロノフ党首は本紙に「ロシア軍の人的被害が大きいというのは偽情報だ。軍事作戦は順調に進んでいる」と反論した。
 プーチン政権は国内の混乱を防ぐため、現段階では総動員などに消極的な姿勢だ。一方、兵役に就いている若者らが法律に違反してウクライナの戦地に送られたり、上官から志願兵になるよう強制させられる事例が相次いでおり、ロシア兵の母親らでつくる団体が懸念を表明している。

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