国連弁務官のウイグル視察に失望の声 「中国側のプロパガンダに」 アメリカも「人権状況評価できず」

2022年5月29日 19時54分
28日、中国広東省で行ったオンライン記者会見で、ウイグル視察について説明するバチェレ国連人権高等弁務官(AP)

28日、中国広東省で行ったオンライン記者会見で、ウイグル視察について説明するバチェレ国連人権高等弁務官(AP)

 【北京=坪井千隼】中国・新疆しんきょうウイグル自治区を視察に訪れていた国連のバチェレ人権高等弁務官は、視察最終日の28日に行ったオンライン記者会見で、視察は「調査ではなかった」と述べ、人権弾圧の実態に迫れなかったことを認めた。米バイデン政権は「中国側の宣伝に利用される」との懸念を示してきたが、海外ウイグル族団体からは視察結果に失望の声が上がった。
 ロイター通信によるとブリンケン米国務長官は28日の会見を受け「中国の行動制限があり、完全で独立した人権状況の評価はできなかった」と改めて懸念を示すとともに、「高等弁務官は、秘密が保たれた形での現地住民との会合が許可されるべきだった」と中国の対応を非難した。
 亡命したウイグル族でつくる団体「世界ウイグル会議」も同日声明を発表し、視察結果に「深刻な失望」を表明。「視察は中国の虐殺行為や人道上の犯罪に免罪符を与えるという、中国側プロパガンダの機会になった」と厳しく批判した。
 バチェレ氏一行は23日に中国入りし、同自治区のウルムチやカシュガルを訪問。現地では高官と会談し刑務所も訪れたという。
 だが新型コロナウイルス対策のため、視察は外部との接触を遮断した「バブル方式」で行われ、一行は中国側が指定した人としか話すことができず、海外記者の同行取材も認められなかった。
 米政府系ラジオ自由アジア(RFA)によると、当局が住民に「外国人の電話や問い合わせに答えるな」とかん口令を敷いた。実際に視察期間中、本紙はカシュガルの飲食店やホテルに電話で取材を試みたが、視察については「知らない」「話せない」と一様に口を閉ざした。
 バチェレ氏は会見で、中国政府がテロ対策を名目に多数の人々を拘束しているとの指摘を念頭に、「中国政府にテロ対策のやり方を見直し、国際的な人権基準に従うよう求めた」と述べた。また海外で暮らす自治区出身者が家族と連絡が取れなくなっている問題を巡り、「連絡がとれない人たちに、情報を提供するよう中国政府に要請した」と述べ、今後も中国政府と定期的な対話を続けていく考えを強調した。

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