ネット選挙時代の新しい連帯「落選運動」 識者「問題を周知する意義大きい」<民主主義のあした>

2022年5月31日 12時00分
西田亮介・東工大准教授(本人提供)

西田亮介・東工大准教授(本人提供)

 公職選挙法には落選運動自体の禁止規定はないが、事実に反する内容があれば罰則対象になる。昭和40年代の裁判例では、候補者が賄賂を受け取ったという真偽不明のうわさを記したビラをまいたとして、被告3人が有罪判決を受けている。またインターネットを使う場合は、選挙期間中、メールアドレスなど連絡先の表示が義務付けられている。
 政治とメディアの関係に詳しい東京工業大の西田亮介准教授(社会学)は「ネット選挙解禁で、多くの人が地域を超えて連帯しやすくなった。落選運動が増えたかは分からないが、交流サイト(SNS)の普及に伴い、その特性を生かした面白い取り組みとして可視化されやすくなった印象だ」と話す。
 日本では2000年の衆院選で、韓国で行われた落選運動をヒントに市民団体が取り組んだ。不正行為への関与などの判断基準で落選させたい候補者をリスト化し、公表した。
 西田准教授は落選運動を「政治性を有する表現活動」とみている。韓国の落選運動に一定の効果があったとされる背景として「日本より高いネット普及率とマスメディア不信があった」と指摘。日本ではネットを使う30~40代以下の投票率が低い。「そもそも普段あまり投票に行かない層に呼びかけても、当落という狭義の成功には結び付きづらいのでは」と効果には懐疑的だ。
 だが、政治に関連する問題を周知する意義は大きいという。「例えば選択的夫婦別姓の問題なら『別姓を強制するものではない』『導入のボトルネックになっているのは自民党』などと知らせることができる。民主主義にとって、表現活動は多様な方が好ましい。ネット発で新しい言説を広げる目的なら、表現戦略として意味はある」と話す。(奥野斐)

おすすめ情報

政治の新着

記事一覧