住民からは期待と懸念の声 相模原のリニア新駅で工事現場公開

2022年5月31日 06時00分
 JR東海は30日、相模原市緑区で建設が進められているリニア中央新幹線の「神奈川県駅(仮称)」の工事現場を報道陣に公開した。地下3階に設置する新駅は現在、目標の半分程度の深さ約17メートルまで掘削され、担当者は「順調に進んでいる」と説明したが、駅につながるトンネルは、東京外郭環状道路(外環道)の工事で空洞や陥没の問題が起きているシールドマシンを用いた工法で掘られる。周辺住民には開業への期待と同時に、根強い懸念もある。

報道陣に公開されたリニア中央新幹線「神奈川県駅(仮称)」の工事現場


◆中間駅の公開は初めて

 品川―名古屋間(285.6キロ)に造られる4つの中間駅のうち、工事現場が公開されるのは初めて。同駅は2019年11月、JR・京王線橋本駅の南側で着工した。計画では、深さ約30メートルにホームを2つ、線路4線を設け、延長約680メートル、最大幅約50メートルとなる。
 掘削現場は、駅の中心付近から東西に約300メートル、幅約80メートルが深さ約17メートルまで掘られ、のり面には乾燥防止のコンクリートが吹き付けられている。さらに15メートルほど掘り下げた後、本年度中にも底面での駅の構築を始める。掘削範囲は東西にも拡大され、駅は27年度の完成を予定する。

◆「まちづくりの起爆剤に」

 「リニアを人が集まるまちづくりの起爆剤にしたい」と意気込むのは、地元住民や商店街、企業などでつくる「リニアのまち橋本を育てる会」の真田勉会長(68)。「企業や商業施設の進出で雇用や税収の増加が期待され、観光振興にもつながる」とみる。
 その真田会長も「JR東海は地権者や住民の理解を早く得てほしい」と懸念するのがトンネル工事だ。リニアでは品川区から東京都町田市までは、深さ40メートル以上の「大深度地下」を掘削するが、相模原市内の都市部では、駅の深さ約30メートルに合わせた「浅深せんしん度地下」を掘る。
 東日本高速道路による外環道の工事は大深度地下で行われ、東京都調布市の住宅地で陥没や空洞が発覚した。市民団体「リニア新幹線を考える相模原連絡会」の浅賀きみ江代表(72)は「調布より浅い地下を掘ることで、深刻な振動や陥没事故などが起きるのでは。できるなら工事を中止してほしい」と話している。(村松権主麿)

◆2027年の開業難しく

 リニア中央新幹線は、ノンストップの品川―名古屋間の所要時間が約40分の予定で、神奈川県駅からは品川まで約10分、名古屋まで約60分(各駅停車)と想定する。
 ただ、JR東海が目指す2027年の開業は、大井川の流量減少問題などで静岡県で着工できず、実現は難しい状況だ。トンネルの着工区間では、岐阜県中津川市で作業員2人が死傷するなどの事故が発生。東京都品川区で今年3月までに約300メートル掘る予定が、土砂をシールドマシンの内部にうまく取り込めず、約50メートルにとどまるなど順調さを欠く。
 また、品川区―東京都町田市の33キロは深さ40メートル以上の大深度地下を掘る計画だが、東京都調布市の外環道の大深度地下トンネル工事で陥没や空洞が相次いで発生し、リニアの沿線住民から不安の声が相次いでいる。リニアのトンネルは愛知県春日井市―名古屋市中区の17キロも、大深度地下に建設される。(梅野光春)

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