ウクライナ報道を長く見た人ほどメンタルヘルス悪化傾向 「惨事ストレス」若年と高齢女性に影響くっきり

2022年6月1日 21時43分
 ロシアによるウクライナ侵攻の報道を長時間見る人ほど、精神的健康(メンタルヘルス)を悪化させる傾向があるとする調査結果を、一般社団法人「社会調査支援機構チキラボ」が1日、発表した。特に女性に抑うつ感が強かった。厚生労働省で会見した荻上チキ代表は「報道に触れる量のコントロールと触れた後のケアが重要」としている。(沢田千秋)
 災害や戦争、テロなど悲惨な出来事が報道によって社会的に共有され、人々がメンタルヘルスを悪化させる現象は「惨事(報道)ストレス」と呼ばれる。
 チキラボは新型コロナウイルス禍でのストレス状況を調べるため、抑うつ感や不安感などを測るウェブアンケートを定期的に実施。ロシアの侵攻開始から約3カ月後の5月の調査では、中度以上の抑うつ感を感じた人が、若年と高齢女性で著しく増加した。18~39歳の女性は3人に1人が抑うつ感を抱え、60~79歳の女性は、抑うつ感、不安感ともに、新型コロナ禍のここ2年間で最高値だった。
 戦争に関するメディア視聴状況を尋ねたところ、戦争報道に触れる時間が長い人ほど、抑うつ感や不安感が強いと判明。中でも、民放の昼のワイドショーや国内の新聞、テレビ局が運営するニュースサイトを見る人のストレスが増大した。

◆家族や仲間で「惨事ケア」を

 女性のストレスが増した理由について、荻上氏は「メディア視聴時間の長さや、受け止め方の男女差が影響している」と指摘。ただ、「もともと抑うつ感などが強い人ほど戦争報道を見てしまう可能性もある。どちらが先かは今回の調査では分からない」という。
 惨事報道そのものについては「とても重要で、知る権利に通じ、この社会をどうすべきかという民主主義の根幹にも関わる」とした上で、「惨事ストレスは受けるものだと自覚し、見る量を減らしたり、家族や仲間との感情の共有や別の温かい話に触れるなど『惨事ケア』を」と呼びかける。

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