防衛費、最初にGDP比2%目標、適切ではない 自民・岩屋毅・元防衛相

2022年6月3日 06時00分
<安保戦略見直し~私はこう考える>
 自民党提言は全体として、わが国が直面する防衛上の諸課題に、的確に提案をまとめている。ただ政府が改定予定の「国家安全保障戦略」は本来、もっと統合的・総合的であってしかるべきで、そのための提言としては外交や経済、経済安全保障の観点などまだ十分でないところもある。

敵基地攻撃能力について話す岩屋毅・元防衛相=東京・永田町の衆院第二議員会館で

 そもそも「敵基地攻撃能力」との言い方は、わが国の防衛政策を語る言葉としてふさわしくない。攻撃を受けた際に、これを防ぐに他に手段がなくやむを得ない場合は反撃せざるを得ないわけだから「反撃能力」と称するのは理解できる。
 反撃能力の対象に「相手国の指揮統制機能等も含む」と明記したことは、いたずらに周辺国を刺激するだけでなく、対処のための準備を促し、軍拡競争につながる恐れがある。「安全保障のジレンマ」という言葉があるが、かえって衝突の危険を高めることにつながりかねない。無益であるばかりでなく、むしろ有害なことではないか。
 防衛費については最初に金額目標があり、そこに届くまでどんどん買い足していくような乱暴なやり方は、日本の防衛力整備のあり方としてふさわしくない。現行憲法下で、わが国の自衛権は必要で最小限でなければならず、これまでの装備も国民の理解を得られるよう丁寧にチェックし整備してきた。現在の国際情勢やわが国を取り巻く諸情勢を鑑みれば、防衛力を充実強化しなければならないという問題意識は全く同じだが、最初に金額目標を掲げるやり方は適切ではない。
 国内総生産(GDP)比2%というと、あと5兆円以上増やすことになる。その財源をどう見つけ、使っていくかを説明する責任が政治にはあり、それこそが政治の仕事だ。借金を当てに防衛費を積み上げていくやり方は取るべきでない。
 専守防衛は日本の専売特許ではなく、国際法、国連憲章の精神だ。反撃は許されるが、先制攻撃は許されない。それを変える必要はないし、変えてはならない。(聞き手・村上一樹)

 いわや・たけし 衆院大分3区。現在、衆院議員9期目。大分県議を経て、90年衆院初当選。防衛政務官、外務副大臣などを歴任。18年10月〜19年9月に防衛相。大分県別府市出身。早稲田大卒。64歳。

    ◇  ◇
 日本を取り巻く安保環境が厳しくなる中、武力による備えを強化していくのか、それとも軍拡競争を避け外交努力に徹するべきなのか。さまざまな考えを持つ与野党の国会議員や有識者らに聞いています。

関連キーワード


おすすめ情報