再生エネ電力を安定調達、日本でも増える「PPA」 背景にFIT制度の曲がり角

2022年6月3日 06時00分
 欧米に続き、日本でも再生可能エネルギーの電力を安定的に調達できるコーポレートPPA(電力購入契約)が増えてきた。背景には、これまで再エネの普及を後押ししてきた固定価格買い取り制度(FIT)が曲がり角にあるという実態がある。(岸本拓也)

コーポレートPPA 太陽光などの再生可能エネルギーの発電事業者が、顧客企業などに対して、10〜20年程度の長期で電力を販売する契約。日本では、発電事業者が顧客から借りた土地や建物に太陽光パネルを設置し、その電力を販売する「オンサイト型」が多いが、設置場所の制約のない遠隔地でつくった再エネ電力を販売する「オフサイト型」も増えてきた。

◆FITで急拡大の太陽光、近年は鈍化

 2012年7月に始まったFITは、再エネの電力を、比較的高い価格で長期にわたって電力会社が買い取る仕組み。短期間で太陽光パネルが設置しやすい太陽光発電は急拡大し、発電量全体に占める太陽光の比率は11年度の0.4%から、20年度には7.9%に増えた。
 一方で、再エネの買い取り費用は電気料金に上乗せされ、導入量に応じて上がってきた。当初は一般家庭(月平均260キロワット時程度使用)で700円に満たなかった年間負担額は、現在1万円を超えている。
 政府は国民負担を抑えるため、太陽光の買い取り価格を年々引き下げてきた。ただ高値で買い取られなくなったことで、ここ数年、太陽光の新規導入のペースは鈍っている。
 「脱炭素」に向けて、政府は30年度に再エネ比率を現在の約2倍となる「36〜38%」に高める目標を掲げている。この中で太陽光も倍増させる方針を示しているが、国民負担増への配慮から、その拡大にブレーキをかけている格好だ。

◆再生エネ増加へ、直接貢献の強み

 しかし、FITに頼らないPPAは、国民負担を抑えつつ、太陽光などの再エネを増やせる可能性を秘める。PPAは再エネの電源を新設するため、純粋に再エネが増える「追加性」がある。
 一般的な電力会社の再エネ料金プランは既にある太陽光や風力、水力発電所などの電力を使っており、再エネの量を直接増やす効果はない。二酸化炭素(CO2)の削減に直接寄与できることもPPAの特長だ。
 ただ、現状日本のPPAで導入できる再エネは太陽光のみ。多くても使用量全体の3割程度しか賄えず、不足分の電力は別途調達する必要がある。契約期間が長期のため、その間に事業所を移転したい場合などには足かせとなる恐れもある。

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