<くらしの中から考える>結婚後の名字

2022年6月3日 07時12分
 私たちが普段、当たり前のように使っている「名字(姓)」。日本では、結婚したら夫婦は同じ名字にすると法律で決まっています。一方で、それぞれが結婚前の名字を名乗ることもできる「選択的夫婦別姓」という制度を求める声も高まっています。六月に結婚すると一生幸せになれるといわれる「ジューンブライド」。皆さんもこの機会に名字のことを考えてみませんか。 (熊崎未奈)

◆多くは女性が改姓 「家制度」の名残強く

 日本で、全ての人が今のような名字を使うようになったのは百五十年ほど前から。江戸時代までは、名字を使えるのは武士など限られた身分の人だけだった。明治時代になり、政府が国民を把握して税金を集めたり、軍に徴兵したりするために、一般の人にも家を表す呼び名として名字を使うことを義務付けた。
 夫婦は同じ名字にしなくてはならないと決められたのは一八九八年。民法が制定され、妻が夫の名字に合わせることになった。男性がリーダーとして家族をまとめる「家制度」の下、妻は夫の家に入り、夫に従うことが求められた。
 戦後、民法が改正され、家制度はなくなった。結婚したら、夫か妻のどちらかの名字にそろえるというルールに変わった。ただ、二〇二〇年の厚生労働省の統計によると、夫の名字にする夫婦が全体の95・3%。多くの女性が結婚後、名字を変えているということになる。
 家族に関する法律や制度に詳しい早稲田大教授の棚村政行さん(68)は「結婚したら夫の家に入るという、昔の考え方がかなり影響力を持ち続けてきた」と話す。実際の家庭でも、夫は外で仕事、妻は家事という役割分業がはっきりしていた。
 一九七〇~八〇年代から、女性も働く人が増えた。名字を変えると、仕事を続ける上で不便なことも多い。運転免許証やクレジットカード、パスポートなどの名前を変える手続きも必要になるが、平日に窓口に行かなければいけないなど手間がかかるため、困る人もいる。
 棚村さんらが二〇二〇年、二十~五十代の男女七千人に聞いた調査では、全体の70・6%が選択的夫婦別姓に賛成と回答。そのうち、自分は同姓を選びたい、別姓を選びたいという人はおよそ半数ずつだった。

◆家族の形は多様化 別姓も選べる自由を

 一方、昨年度に内閣府が行った調査では、回答した十八歳以上の男女約二千九百人のうち、夫婦別姓に賛成したのは28・9%。別姓を認めると、子どもと片方の親は違う名字になり、家族の一体感や絆が薄れるという声も上がる。別姓を認めなくても、結婚前の旧姓を職場などで使いやすくする法律を作った方がいいという意見もある。
 男性も女性も同じように社会に出て働くようになった。「家族の形が多様化し、『妻が夫の家に入る』という意識は薄れてきた」と棚村さん。「夫婦同姓でも別姓でも、誰もが自分らしくのびのびと生きられる方法を選べることが大事なのでは」と話す。

◆意見 送ってください

 皆さんは結婚したら同姓、別姓どちらの方がいいと思いますか? 意見を送ってください。紙面で紹介したお子さんの中から抽選で図書カードをプレゼントします。応募は〒460 8511 中日新聞(東京新聞)生活部「学ぶ」係=ファクス052(222)5284、メール seikatu@chunichi.co.jp=へ。
ワークシート兼応募用紙もダウンロードできます。16日締め切り。
https://www.chunichi.co.jp/info/nie/download

関連キーワード


おすすめ情報

ライフの新着

記事一覧