<Q&A>今年の夏と冬に迫る電力不足の危機 なぜ供給余力が厳しくなったのか?

2022年6月4日 06時00分
 政府が5月27日に公表した2022年度の最新の電力需給の見通しで、夏と冬は全国的に電力不足になる可能性があることが分かりました。萩生田光一経済産業相は「節電が必要だ」と危機感をあらわにしています。電力需給が逼迫ひっぱくする背景には何があるのでしょうか。(岸本拓也)
 Q 電力はどのくらい不足しそうなのですか。
 A 政府がまとめた、猛暑や厳冬のピーク時を想定した電力需要に対して、どのくらい供給できる電力があるかの余力を示す「予備率」を見ると、今夏は、東北・東京・中部の3電力のエリアで、最低限必要とされる3%ぎりぎりです。電力に余裕のある地域から不足する地域へ送電する広域融通を加味しても、ここ5年で最も厳しい数字です。
 今冬はさらに厳しく、現時点の見通しでは、東京エリアは予備率がマイナスとなり、関西や九州など西日本の6エリアでも3%を下回ります。
 Q なぜそこまで厳しい状況になったのですか。
 A 直接的には、3月の福島県沖地震の影響で、東北電力などの複数の大型火力発電所が長期停止に追い込まれたことが大きいです。さらに、関西電力の高浜原発3号機で伝熱管の損傷が見つかり、5月に予定していた再稼働時期が見通せなくなったことも重なりました。一方で、新型コロナ禍で停滞していた経済活動の再開に伴い、電力需要が増えています。
 Q 再生可能エネルギーは増えていますが。
 A 確かに再エネは太陽光を中心に増え、特に夏場の需要のピークとなる晴れた日中の供給力として頼りとなる存在です。ただ、太陽光の急拡大や世界的な脱炭素の流れを受けて、ここ数年、発電費用が割高な古い石油火力を中心に出番が少なくなった火力発電所は毎年200万〜400万キロワット分(大型原発2〜4基分)が廃止されています。
 こうした火力発電は、悪天候で太陽光など再エネが発電しない時や、緊急的な電力不足を補う役目を果たしていた側面がありました。相次ぐ廃止が供給力不安につながっています。
 Q どんな対策が打てるのでしょうか。
 A 即効性があるのは節電です。政府は企業・家庭に節電の協力を呼びかける方針です。需給逼迫時には、企業などを対象に、法令で節電を義務付ける「電力使用制限令」の発動も視野に入れています。もし発動されれば、東日本大震災後の2011年夏以来です。
 供給面では、休止中の火力発電の再稼働を念頭に、120万キロワットの電力を公募するほか、自家発電を持つ企業などに電力を市場に供出するよう求める予定です。

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