<コラム 筆洗>歯周病は江戸時代、歯草(はくさ)と呼ばれた。息が臭くなるた…

2022年6月4日 07時04分
 歯周病は江戸時代、歯草(はくさ)と呼ばれた。息が臭くなるためという。歯茎が腫れたら植物を煎じて口に含むなどの療法もあったらしい▼平安時代末期から鎌倉時代初期に作られた絵巻『病草紙(やまいのそうし)』にも歯周病患者が登場。烏帽子(えぼし)をかぶった男が食膳を前に、妻に向かって口を開けて指で歯をつまみ、痛みを訴える絵がかかれる。歯が揺らぎ、硬いものをかめないなどの説明が添えられる。『ものと人間の文化史 歯』(大野粛英(としひで)著)で知った▼きょうから歯と口の健康週間。政府は近く決定する「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」に、国民全員の歯科健診導入の検討を盛り込むという。すべての人が定期的に受けられる仕組みをつくるらしい▼歯周病は、心疾患や糖尿病などとの関連が指摘される。歯周病の予防で、全身の病気予防につなげる狙いという。国庫に支えられながら増加傾向が続く医療費の抑制につながるなら、悪くない話。ただ、参院選を見据え、歯科医師票を狙ったとの冷めた見方もある▼歯周病予防の基本は歯磨き。先の本によると、江戸時代には木の枝で作った歯ブラシ、房総半島の砂などを使った歯磨き粉が普及した。女性にもてたい一心で歯を白くしようと努めた江戸っ子も。川柳が残る。「親のすねかじる息子の歯の白さ」▼国のすねもかじれば細る現実を心に留め、何でもかめる歯を維持したい。

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