<食卓ものがたり>「ぷるん」に宿る禅の心 ごま豆腐(福井県永平寺町)

2022年6月4日 07時15分

(左から)白、黒、金のごまから作る團助のごま豆腐について話す山本慶治さん=福井県永平寺町で

 鎌倉時代に創建された曹洞宗の大本山永平寺(福井県永平寺町)。修行僧たちは昔から、貴重なタンパク源として「ごま豆腐」を食してきた。その永平寺から直々に製法を学び、門前に並ぶ土産物店に納めているのが「團助(だんすけ)」だ。
 團助は一八八八年、豆腐店として創業した。戦後、永平寺への参拝客が増えるにつれ、門前町から「何かこの土地らしいもてなしをしたい」という声が上がるように。そこで「先代が道具を譲ってもらうなどして、永平寺で作り方を学んだ」と社長の山本慶治さん(56)は話す。
 ごま豆腐は手間のかかる食べ物だ。ごまをいってからすり、水を加える。くず粉を少しずつ混ぜ、加熱しながら練り上げる。山本さんによると「どろっとした状態」が型に入れる目安。冷やして固めたら、切り分けて完成だ。
 材料はごまとくず粉、水だけ。シンプルなだけに、調合などそれぞれの工程で細かく気を配りながら、いつ食べても変わらない味に仕上げるのが、職人の腕の見せどころという。ごまの自然な甘さと、ぷるんとした食感が特徴だ。
 永平寺のごま豆腐作りは全て手作業。ごま一粒一粒に宿った命を感じながら、心を込めて作ることが「修行」という考え方によるものだ。多くの量を作る必要がある團助では一部を機械化しているが、山本さんは「食や命を大切にする禅の心が伝わるようにと願いながら作っている」と力を込める。
 家業を継いだのは三十年以上前だ。当時、ごま豆腐は日持ちしなかった。しかし、二年間の研究の末に生み出した今の主力商品は、プラスチック製のパックに詰めた後で加熱処理を施して殺菌。常温で保存しても九十日間はおいしく食べられるようにしてあるという。
 文・写真 佐橋大

◆味わう

 團助は、永平寺から1キロ余り離れた場所に、製造所と直営店を構える。直営店で販売している金ごま豆腐、黒ごま豆腐、白ごま豆腐は、それぞれ材料として使っているごまの種類が異なる。白ごま豆腐は、2個入り、たれ付きで670円だ。
 「ここでしか食べられない」と遠方から来る人もいるほど人気なのが、加熱処理を施していない生のごま豆腐。そのまま食べるのもよし=写真(左)、餅の代わりにぜんざいに入れてもおいしい=同(右)(いずれも432円)。口に入れると、みずみずしさが際立って癖になる。問い合わせは直営店=電0776(63)3663。

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