茨城「つくば霞ヶ浦りんりんロード」が「ナショナルルート」に 「魅力度ランキング最下位」脱出へ銀輪駆ける

2020年1月16日 02時00分

◆霞ヶ浦と筑波山麓結び、魅力度アップ!

 新年のさわやかな風を茨城で自転車をこぎ、感じてみては。筑波山麓の鉄道廃線跡と霞ケ浦の湖岸を走る茨城県内のサイクリングコース「つくば霞ケ浦りんりんロード」が、日本を代表する自転車道の「第一次ナショナルサイクルルート」の一つに選ばれた。民間の都道府県魅力度ランキングで、最下位が続く茨城。今年は、サイクリングで巻き返しを狙う。

◆見晴らし最高 平坦で走りやすい

 「サイクリング天国いばらきを走ろう」。昨年十二月の日曜の朝、土浦市の霞ケ浦湖畔の公園。サイクリスト十数人が横断幕を掲げ、スタート前に記念撮影をしていた。
 一行は、市内の学習塾経営者の張替幸一さん(62)、ゆかりさん(56)夫婦が運営する「HMBアウトドアクラブ」が企画したツアー。二人は二〇〇四年から、霞ケ浦周辺でサイクリングのイベントを開いてきた。
 張替さんは、各地のトライアスロンや自転車イベントに参加するうち、「霞ケ浦の湖岸を走れる。見晴らしが良く、平たんで走りやすい」と地元の立地の良さに気付いた。十五年間で約百回のイベントを開き、県内外から延べ約千四百人が参加した。
 「最初は『サイクリング天国いばらき』と言うのは気恥ずかしかったけど、言い続ければそう思ってくれるかな、と考えていた」とゆかりさん。ナショナルルート指定を「ようやく恵まれた立地に気付いてもらえた」と喜ぶ。

筑波山を背に、廃線になった旧筑波鉄道の線路跡をゆく

◆廃線跡と湖岸一周つなぐ総延長180キロコース

 りんりんロードは、筑波山麓や土浦市の中心部を通り、霞ケ浦の湖岸を一周する総延長百八十キロ。以前からのサイクリングコースを一体化させるなどして、一六年に開通した。
 このうち筑波山麓の約四十キロは、一九八七年に廃線になった旧筑波鉄道の線路跡。自転車専用道で、旧駅舎が休憩所になっているのも特徴だ。

旧駅舎が休憩所に。かつての駅ホームでひと休み。

◆レンタサイクル、シャワー付き更衣室も

 県は二〇一七年からJR土浦駅やつくばエクスプレスつくば駅周辺などで、各地で貸し出しや返却ができる広域レンタサイクルを始めた。都内からの玄関口としてJR土浦駅ビルには一八年、レンタサイクルや自転車組み立てスペース、シャワー付き更衣室を備えた拠点施設をつくった。

JR土浦駅ビルに入居するレンタサイクルショップ(土浦市提供)

 土浦駅ビルには、自転車を運び込める飲食店もオープン。今年三月には、自転車を室内に持ち込めるサイクリスト向けホテルも開業する。コース沿いでは、コンビニ店などがトイレを貸し、空気入れや工具を提供している店舗もある。

JR土浦駅ビルのサイクリスト用ホテルの完成予想図。自転車を室内に持ち込める (星野リゾート提供)

 県によると一八年度は、利用者数が前年の一・五倍近い約八万一千人に急増。レンタル自転車も、前年から五割増加の約二千六百台に増えるなど、人気は急上昇している。
 県や沿線自治体は今後、目印の路面の標示、休憩施設の改修、五カ国語の案内板設置を進める。外国人旅行者誘致のため、海外の自転車関連イベントでもPRを計画している。
 他にナショナルルートに指定された琵琶湖一周コースの「ビワイチ」(滋賀)と、瀬戸内海の島々を巡る「しまなみ海道サイクリングロード」(広島、愛媛)には知名度は及ばない。それでも、張替さんは「みんな走った後は、本当に良い表情になる。知ってもらえれば、茨城はサイクリング天国として魅力度が高まる」と言い切った。

◆「霞ケ浦1周」略して「カスイチ」!?

「ビワイチ」にも負けない霞ヶ浦一周コース

 りんりんロードのうち、霞ケ浦を一周するサイクリングは、自転車愛好家の間で略して「カスイチ」とも呼ばれる。地元では「語感が良くない」と、ちょっとした論議を呼んでいる。
 「できれば『カスイチ』は避けてほしい。『カスミイチ』や『ウライチ』にしてくれれば」。大井川和彦知事は一昨年の会見で、個人的な考えとして「他の名前にしてくれるとありがたい」と述べた。
 琵琶湖一周コースの「ビワイチ」の略称が定着した影響で、「カスイチ」も広まったとみられる。「ビワイチ」とりんりんロードは、静岡県の浜名湖沿岸のコース「ハマイチ」と連携し、交流している。りんりんロードだけしっかりとした愛称はなく、「カスイチ」には地元で嫌がる人も一部いるという。
 魅力度アップには愛称も重要な気がするが、県の担当者は「地域の人やサイクリストのみなさんが考えることで、役所がどうこう言う話ではない」と静観する。
 土浦市中心部で自転車店を営み、いばらきサイクリング協会理事長の川崎隆義さん(64)は「初めて聞いた時はイマイチと思ったが、そもそも普及している略称なのかな。昔も今も『霞ケ浦一周』と略さずに言うことが多いと思う。あまり気にしなくてもいいんじゃないか」と笑った。
文と写真・宮本隆康
(2020年1月15日朝刊「TOKYO発」面に掲載)

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