DVシェルター苦境 活動20年 多摩の団体休止へ

2020年1月14日 02時00分
 東京・多摩地域でDV被害者の保護や自立支援に20年取り組んできた民間団体「多摩でDVを考える会」が、財政難から2019年度で活動を休止する。同会のような団体は「民間シェルター」と呼ばれ、十分とはいえない公的支援の下支えをしているが、DV被害の相談が増える中、財政難は全国的な傾向。NPO法人全国女性シェルターネットの北仲千里共同代表は「今後5年間で相当数が閉鎖に追い込まれる」と危機感を強めている。 (竹谷直子)
 「私たちも年金生活者。もう限界です」。同会のスタッフは苦境を明かす。
 一九九九年から活動を始めた同会は、被害者の一時保護だけでなく、自立までの長期的な支援をする入所施設「ステップハウス」を運営するなど先進的な取り組みで知られる。
 運営費の柱は、多摩地域三十市町村のうち十六市から受ける年間計三百十万円の助成金。だが、家賃などの費用は年間約六百万円で、スタッフは無償で働き、不足分は寄付や持ち出しで賄ってきた。助成金を受けていない自治体からの保護の依頼も引き受ける。「苦しむ被害者を放っておけない」(スタッフ)からだが、その自治体に助成を求め、断られたこともある。
 同じ多摩地域でDVの被害女性らを支援する国立市のNPO法人「くにたち夢ファーム」の遠藤良子さんは「市の支援や助成金は人件費に充てられない。みんなボランティアです」と指摘する。
 内閣府が昨年五月に発表した民間シェルターの実態調査(九十五施設)によると、85・3%が財政難と回答。一施設あたりの平均職員数は常勤二・〇人、非常勤四・〇人だったのに対し、ボランティアが最多の五・三人に上った。スタッフ不足と答えた団体も84・2%あった。
 DV被害者を保護する公的機関は、都道府県ごとに設置されている婦人相談所があるが、入所可能人数は合計で七百七十四人。警察庁のまとめでは、二〇一八年のDV被害の相談件数は、〇一年のDV防止法制定後、最多の七万七千四百八十二件に上った。相談所が受け入れられない被害者らを、全国に約百二十ある団体が運営する民間シェルターなどが支えている。
 相談所から委託を受けた民間施設は委託費が支払われるが、財政難で閉鎖された都内の民間シェルターの元スタッフ(68)は「『お願いします』の一言で委託料が支払われなかったこともある」と打ち明ける。
 内閣府は実態調査を踏まえ、二〇年度予算案に概算要求で民間シェルターの支援費として新たに二億五千万円を計上。しかし、担当者は「正直、毎年数億円規模を予算化するのは難しい」と説明。北仲さんは「きちんと給料をもらえる環境にしなければ人材不足は解決できない。民間シェルターへの支援の充実が急務だ」と強調する。

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