「都内のリニア工事中止を」 イタイイタイ病弁護団長の原告訴え 「公害訴訟の教訓は予防」

2022年6月6日 21時54分

リニア中央新幹線の「北品川非常口」工事現場=東京都品川区で、本社ヘリ「あさづる」から


 JR東海が深さ40メートル超の大深度地下で進めるリニア中央新幹線のトンネル工事による騒音や振動で生活が脅かされるとして、東京都大田区と世田谷区の住民24人が、両区にまたがる約4キロの工事の差し止めを同社に求めた訴訟の口頭弁論が6日、東京地裁であった。原告の1人でイタイイタイ病などの公害訴訟で被害者側の代理人を務めた朝倉正幸弁護士が意見陳述し「公害訴訟の教訓は予防。被害が出てからでは遅い。工事中止を求める」と訴えた。(加藤益丈)
 朝倉氏は1968年から30年にわたり、イタイイタイ病や水俣病などの公害訴訟で被害者側の代理人を務め、現在はイタイイタイ病弁護団の団長を務めている。2018年、世田谷区内の自宅がリニアのトンネルルート上にあると知り、原告になったという。

朝倉正幸弁護士=東京都千代田区の東京地裁前で

 意見陳述で「私は公害の被害者がどんなに苦しんでいるか目の当たりにしてきた。公害訴訟の教訓は予防。予防なしに進められた事業は多くの犠牲を払うことになる」と指摘。昨年10月に調査掘進として始まった掘削が本格化すれば「私の土地の地盤沈下や建物の損壊などは切実となる」と今後の不安を語った。
 東京外郭環状道路のトンネル建設中に調布市で起きた陥没事故に触れ「事故が示すのは被害は実際に起こるという厳然たる事実。1日も早く公正な判断、すなわちリニア工事を中止する判決を出すよう要望する」と訴えた。次回の口頭弁論は10月4日。

 イタイイタイ病 富山県の神通川流域で発生した公害病。1968年に全国で初めて公害病と認定された。患者と遺族が68年3月、三井金属に損害賠償を求めて提訴。71年6月、富山地裁が原告全面勝訴の判決を出し、72年8月に判決が確定した。


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