<解説>クルド人男性難民認定の判決確定へ 国は適切に難民認定を

2022年6月7日 06時00分
 トルコ国籍の20代のクルド人男性の難民不認定処分を取り消した札幌高裁の判決に対し、国は上告を断念した。2019年に法務省入国管理局(現・出入国在留管理庁)が出した方針に従えば、男性が難民認定される可能性は高い。
 難民不認定処分を巡っては06年6月、名古屋高裁が別のクルド人男性への処分取り消しを命じたが、当時の法相がその後も難民認定をしないなど、司法判断を軽視する傾向があった。
 転機は18年12月の東京高裁判決だ。不認定処分を取り消す判決が確定した場合、法相は難民認定をするべきだと判断。これを受け、入国管理局は19年1月、出身国の状況が改善されたなどの理由がない限り、判決に基づいて速やかに難民認定するよう、全国の入管に通知した。全国難民弁護団連絡会議事務局によると、この通知に従って、旧ソ連出身の無国籍男性とイラン国籍男性の計2人が既に難民認定されたという。
 今回の高裁判決では、男性の顔や頭の切り傷を軍や警察の拷問によるものと認定。男性が14年に来日した後、現地に残った父親が襲撃されて負傷し、その後死亡したこともあり、帰国すれば迫害を受ける恐れがあると判断した。
 同事務局によるとこの男性が難民認定されれば、トルコ国籍のクルド人として初の認定となる。支援者らは「クルド人を『テロリスト』とするトルコ政府への配慮か、まだ難民認定されたことがない。認定されれば、約2000人いるとされる他の在日クルド人の希望になる」と注視する。通知に沿った適切な判断を期待したい。(望月衣塑子)

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