東海第二原発の事故対策工事 防潮堤の杭打ち45%完了 「再稼働の時期は未定」

2022年6月7日 07時58分

鋼管杭をコンクリートで覆う作業が進む防潮堤=いずれも東海村で(代表撮影)

 日本原子力発電は、東海第二原発(茨城県東海村)の再稼働に向けた事故対策工事の現場を、2020年12月以来1年半ぶりに報道機関に公開した。最大17.1メートルの津波を想定した防潮堤の建設は、軸となる「鋼管杭(こうかんくい)」の打ち込みが全体の45%まで完了していた。ただ、仮に工事がこのまま順調に進んでも、自治体の広域避難計画策定や地元同意といった課題は残されており、再稼働への道筋は見えない。(長崎高大)
 事故対策工事は今年十二月までに完了予定だったが、原電は二月、並行して進めるテロ対策施設(特定重大事故等対処施設)の工期と併せて二四年九月までの延期を発表した。両工事の費用は二千三百五十億円で、一日約千八百人の作業員が入っている。
 防潮堤は、東海第二と東海原発(廃炉中)の敷地を全長一・七キロメートルのコの字形の壁(海側で標高二十メートル、厚さ三・五メートル)で囲う。地下六十メートルの岩盤まで、直径二・五メートルの鋼管杭を三十センチ間隔で打ち込み、地上に杭を継ぎ足した上でコンクリートで覆う。
 杭は五百九十七カ所に打ち込む予定。案内役の小林英治副所長によると、五月末現在、地下、地上とも打設済みなのは二百七十カ所で、地下に限れば72%に当たる四百三十二カ所で作業を終えているという。
 炉心に冷却水を給水する機能が失われた場合に備えた、冷却設備の多様化も進んでいた。

原子炉建屋の南隣に建設中の代替淡水貯槽

 原子炉建屋の南隣では、既存の設備とは別に五千立方メートルの水をためられる「代替淡水貯槽」の工事がスタート。地下に深さ二十一メートルの円柱状の貯槽を設置し、隣接するポンプ室から原子炉建屋につなげる。
 原子炉建屋の西南の高台には、他の非常用電源が失われた場合に用いる高圧電源車六台を配備する「常設代替高圧電源装置置き場」を設ける計画だ。現在はその地下部分で、もう一つの予備の水源となる淡水貯水設備の工事が始まっていた。こちらも五千立方メートルの水をためておくことができ、緊急時にはポンプ車で原子炉建屋内に注水する。

常設代替高圧電源装置置き場の予定地で、地下に建設中の淡水貯水設備

 事故時の対応拠点となる「緊急時対策所建屋」は、標高八メートルの原子炉の隣接地から陸側に三百二十メートル離れた標高二十一メートルの高台に移す。職員約百人を収容できる四階建て建屋の建設に向け、地盤強化工事までが終わっていた。
 東海第二の重大事故に備えた広域避難計画は、県と三十キロ圏内の十四市町村に策定義務があるが、策定済みは県と笠間、常陸太田、常陸大宮、鉾田、大子の五市町にとどまり、過去二年間に新たに策定した自治体はない。昨年三月の水戸地裁判決は、計画の実効性不備を理由に東海第二の運転差し止めを命じており、策定済みの計画も見直しは避けられない状況だ。

基礎工事が進む緊急時対策所建屋の予定地。後方には原子炉建屋が見える

 原電の村部良和東海事業本部長は、報道陣との質疑で「工事終了後も避難計画の策定、地元の理解というステップがあり、再稼働の時期は未定。今回延期した工事を着実に進め、地元に丁寧に説明していくことが大事だ」と述べた。
 高島正盛地域共生部長は避難計画に関し、事故時の放射性物質の拡散シミュレーションを提出するよう県から求められていると説明。「年内には提出したい」と話した。
 現場公開は、本紙など県政記者クラブ加盟社を対象に三日に行われた。

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