つくばエクスプレス(TX)の延伸は必要か…茨城で「実現する会」発足、東京、千葉、埼玉は静観

2022年6月9日 18時27分

延伸案が浮上する「つくばエクスプレス」=首都圏新都市鉄道提供

 東京・秋葉原駅と茨城・つくば駅を結ぶつくばエクスプレス(TX)を茨城県内で延伸させる計画が急浮上している。延伸候補地の自治体は「活性化の起爆剤」と期待を膨らます一方、TXは運行で小さなトラブルが相次ぎ、内部から拡大路線を危ぶむ声もある。首都圏を見渡せば、鉄道の延伸計画は多い。だが、鉄道は地方を含め首都圏でも人口減少やコロナ禍による利用者減で経営環境は厳しい。多額の費用をかけた延伸が必要なのか考えた。(特別報道部・山田祐一郎、宮畑譲)

◆ 人口増加、観光振興、防災力の強化…土浦市長自ら街頭で訴え

TXの土浦延伸に向け、駅利用者に署名を求める安藤真理子土浦市長(右)=茨城県土浦市で

 「つくばエクスプレスを延伸させましょう」。茨城県土浦市にTXの延伸を目指す「TX土浦延伸を実現する会」(会長・安藤真理子市長)は8日朝、通勤客らに署名を求め、JR常磐線の土浦駅でチラシを手渡した。
 市や地元の商工会議所などでつくる「実現する会」は今年4月に発足。2万人を目標に連日、駅頭で署名を呼び掛けている。12日には決起集会を開き署名簿をまとめ、29日に要望書とともに県に提出する予定だ。市の担当者は「延伸は、利便性向上による人口増加や観光振興、防災力の強化などさまざまなメリットが期待できる。通勤客にも好意的に受け止められている」と手応えを話す。
 TXは2005年の開業で、東京都と茨城、千葉、埼玉県と沿線自治体、民間企業が出資する「首都圏新都市鉄道」が運行する。15年に累計輸送人員が10億人を突破するなど順調に利用者を伸ばしてきた。
 今年3月に発表された住宅情報サイトの「住みたい街ランキング」では、流山おおたかの森駅(千葉県流山市)が16位、つくば駅が29位と上位にランクイン。沿線は子育て世帯を中心に人気となり、人口も増えてきた。

◆新型コロナの影響で利用者は大幅減

 ただ、新型コロナウイルスの影響でこの2年は大幅に利用者が減少。21年度の1日当たりの輸送人員は約30万人で20年度より回復したものの、19年度からは2割以上少ない。
 TXの延伸計画は秋葉原駅から東京駅と、茨城県内方面の2つが存在する。県によると、県内についてはTXの構想段階から求める声があった。18年に策定した県総合計画で、つくば駅から先の①筑波山②水戸③茨城空港④土浦―の案が提示されたことで具体化された。
 県の本年度予算で初めて調査費1800万円が盛り込まれ、4方面案の需要予測調査が始まった。年度内に延伸を求める先を一本化する方針が決まったことから、計画で示された自治体で誘致活動が活発化した。県の担当者は「着工時期や事業費、費用負担などは何も決まっていないが、今後、東京駅と県内の両方を進めていく」と二兎にとを追う。
 これに対し、出資する他都県は静観の構えだ。東京都の担当者は「まだ調査段階。運行会社がどう判断するか注視している」。「具体的な話が出てくれば関係都県と意見交換していく」(埼玉県)。「今後の状況を注視している」(千葉県)と述べるにとどまる。

◆「もっと便利になる」「需要があるのか疑問」

 利用者からは延伸への賛否の声が聞かれた。8日午後、守谷駅(茨城県)から秋葉原駅を訪れた男性(73)は「延伸は賛成。茨城空港までつなげばもっと便利になる」と好意的だ。
 JR武蔵野線と接続する南流山駅(千葉県流山市)では、帰宅途中の60代のパート女性が「これ以上、混むのは困る」と即答し反対の姿勢。普段からTXを利用するという男性会社員(44)は「実家が水戸なので個人的には延びたら便利だが…。延伸に需要があるのか疑問」と話した。
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