天国の吉右衛門さんに届け 山王祭のお神酒所に遺品の奉納幕を掲示 10日お披露目

2022年6月9日 20時46分

中村吉右衛門さん=16年8月撮影

 日本三大祭りの一つに数えられる日枝神社(東京・永田町)の「山王祭」(7〜17日)で、氏子町会の一つ、六番町町会が10日、人間国宝の歌舞伎俳優、2代目中村吉右衛門さん(享年77歳)から寄贈された奉納幕を初披露する。コロナ禍により、名物の王朝絵巻行列や稚児行列などを行う「神幸祭」は中止となったが、同町会は幕を掲げることを決め、吉右衛門さんの遺志を継ぐ。(井上靖史)

◆「鬼平犯科帳」でもおなじみ人間国宝、昨秋他界

 六番町町会は皇居の西に位置する住宅街。かつてここに住んでいた初代中村吉右衛門から1950年代に奉納幕が贈られ、祭りで氏子が立ち寄る「お神酒所」で掲げていた。
 町会長の新井巌さん(78)によると、2代目の吉右衛門さんも以前、町内に住んでいた縁がある。前回の神幸祭後の2018年9月、歌舞伎座での舞台後に会ったとき、「2代目として奉納幕を新調して寄贈したい」と申し出があった。
 舞台だけでなく時代劇「鬼平犯科帳」などテレビでもおなじみだったスター俳優。新しい幕は昨年5月に完成したが、吉右衛門さんはその2カ月前に倒れ、意識がほとんど戻らないまま11月に亡くなった。親族からは、奉納幕のお披露目を楽しみにしていたと聞いた。

初代中村吉右衛門さんから寄贈された奉納幕を見せる新井さん。2代目が新調した奉納幕は10日に披露する=6日、千代田区で

 今回、各町会の一斉の山車の巡行は見送ったが、六番町町会や周辺の町会でつくる「糀町こうじまち惣町睦そうちょうむつみ」が2台の山車を4年ぶりに出し、11日に静かに各町会を練り歩くことを決めた。六番町町会は、町内の自治労会館前にお神酒所を設けて吉右衛門さんの奉納幕を掲げる。お披露目式は10日午前11時。吉右衛門さんの妻波野知佐さんが出席する。新井さんは「2代目に、ご遺志を継ぎましたと報告したい」と話す。
 日枝神社は江戸城の鎮守として、徳川将軍家が信仰を寄せた。6月15日を中心に開かれる祭礼は、当時の江戸城への神輿みこしの入城が許されたことから「天下祭」と称され、祇園祭(京都)、天神祭(大阪)と並ぶ大祭として知られる。

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