妻手作り 芥川愛用のネクタイ初公開 田端で生誕130年記念展 家族が語り継いだ素顔

2022年6月12日 07時20分

初公開となる芥川龍之介愛用のネクタイ=いずれも田端文士村記念館提供

 今年、生誕百三十年を迎えた作家、芥川龍之介(一八九二〜一九二七年)の素顔に迫る記念展が田端文士村記念館(東京都北区田端六)で開かれている。私生活では、よく悩み、よく笑い、よくしゃべったという芥川。今年二月に見つかった妻手作りの愛用のネクタイなど、家族と紡いだ人生に触れられる貴重な資料が並ぶ。(西川正志)
 記念展は「作家・芥川龍之介と共に歩んだ家族の物語」。初公開となるネクタイは、芥川が一九二一年に取材旅行で訪れた中国で購入した布地を使って、妻の文(ふみ)が手作りした。芥川は晩年まで愛用していたという。芥川の死後、文が結婚生活や二人の思い出などについて語った「追想 芥川龍之介」(筑摩書房)の編集に携わった記者に贈られ、表紙のデザインにもなった。今年二月、記者の家族から同館に寄贈された。
 文に送った恋文もある。同館によると、芥川は何通も文への恋文を書いているが、二人はお互いの手紙を棺に入れる約束をしていて、そのほとんどが残っておらず、今回、展示しているのは現在、所在が確認されている唯一の恋文という。原稿用紙の切れ端に「コノ上愛セナイ位 愛シテ居リマス」などと書かれている。

芥川龍之介が妻の文に贈った恋文

 長男で俳優だった比呂志が子どものころに芥川について書いた作文など、計七十点で素顔を紹介している。
 記念展を担当した同館の木口直子さんは「家族が語り継いできたことや思い出を、芥川の生涯と照らし合わせたことで、作家としてではなく、人としての芥川が見えてくる」と話す。
 九月十九日まで。入場無料。月曜と祝日の翌日休館。

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