京急電車にあふれる思い 赤い車体、力強く描く 自閉症の高校生和田さん 横浜で初の絵画展

2022年6月12日 07時36分

京急の赤い車体を主に描いた和田さんの作品

 自宅近くを通る京浜急行電鉄の電車を描き続けている横浜市南区の高校3年和田陽光(ようすけ)さん(17)の初めての絵画展が、同区六ツ川のギャラリー「Goozen(グーゼン)」で30日まで開かれている。自閉症で京急線へのこだわりが強く、休日には何時間も電車を見続けている和田さんのあふれる思いが伝わるような作品だ。(神谷円香)

和田陽光さん(あーとすたじお源提供)

 主に赤い車体を、鉛筆やオイルパステルで力強く描いた百八枚が壁にずらりと並ぶ。鉛筆の線を何度も重ね、時に紙が破れるほどの勢いで塗られた跡もある。
 和田さんは幼いころから電車をずっと眺めていた。保育園の時に絵を描けるようになると電車ばかりを描くようになり、中学生のころからは京急線に特化するように。通学にも京急線を使っており、絵は学校のある平日は朝晩の食事後に描き、休日はあちこちの駅へ電車を見に行くという。
 母親の希未子さん(54)によると、教わらなくても遠近法を自然に身につけたといい、正面や斜め、横から見た角度の絵には立体感もある。十五分ほどで一枚を仕上げ、何かに駆られているように何枚も描き続けるという。

京急線の赤い車体と、日記のような言葉も周りに記した作品が並ぶ=いずれも横浜市南区で

 日々大量に描く絵を、希未子さんはずっと捨てていたが、昨年一月「アルバム代わりに」と処分する前にインスタグラムに投稿し始めた。誰もが自由に制作できる居場所を設けている同市のNPO法人「あーとすたじお源(げん)」の福家健彦さん(55)がそれを見て「いいね!」と応じ、和田さんは源が神奈川区で開くアトリエに月二回ほど通うようになった。
 作品を源のインスタにも載せるようになると、フランスのコレクターから「買いたい」と連絡があり、京急線の絵十枚が売れた。自身の絵が購入や展示されるのを本人は理解していないというが、家族は喜んでいる。展示作品は会場で販売もしている。
 今回の展示は電車をテーマにした三人展で、他に藤沢市のクラフトゆうさん、大阪府の竹渕匠さんの作品も並ぶ。クラフトゆうさんの作品は、段ボールとマーカー、テープを用いた彩りあふれる立体の電車。竹渕さんは、くっきりした線で力強く描いた電車の絵を出展している。

クラフトゆうさんの作品

竹渕匠さんの作品

 入場無料。ギャラリーの開館は水、木、土、日曜日の午後一時〜七時半(三十日は六時半まで)。月、火、金曜日は休み。京急線弘明寺駅から徒歩五分。

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