「河井案氏側から86万円」 参院選運動員、受領を証言

2019年12月29日 02時00分
 自民党の河井克行前法相の妻、案里(あんり)参院議員=広島選挙区=が初当選した七月の参院選で、案里氏が支部長を務める同党支部が、陣営の一員として選挙運動をした男性会社員に約八十六万円を支払っていたことが分かった。男性が共同通信の取材に証言した。公選法で報酬が認められていない運動に従事しており、支払いは同法違反(買収)に当たる可能性が高い。
 男性は「選挙前、克行氏から直接、支払いの申し込みがあった。選挙中に支持固めをしたことに対する支払いだと思っていた」としている。
 河井夫妻を巡っては同じ参院選で報酬が認められた車上運動員に対し、上限を超えた金額を支払った疑いが報じられた。大学教授らが公選法違反容疑で告発状を出しており、広島地検は複数の車上運動員らから任意で事情聴取している。男性の場合、そもそも報酬の対象外で、より重大な問題との指摘が出ている。
 男性は共同通信の取材を受け「公選法で禁じられた報酬だった疑いがあることに初めて気付いた」とし「誠実に対応したい」と述べた。夫妻の国会事務所は事実関係を確認する質問状に対し、二十八日まで回答していない。
 男性によると、旧知の克行氏に五月に呼び出され、広島市安佐(あさ)南区の地元事務所で、一対一で面会。その際、案里氏の陣営の選挙運動支援を頼まれ「月七十万円を支払う」と口頭で約束された。男性は七月二十一日の投開票に向け、案里氏への支持固めのために広島県内の地方議員、有権者らを回った。男性名義の銀行口座には案里氏が支部長の自民党広島県参議院選挙区第七支部の名義で、約三十八万円(六月二十八日)、約三十八万円(七月三十一日)、十万円(八月一日)が入金された。

◆より重大、新たな疑惑

<日本大の岩井奉信教授(政治学)の話> 選挙運動員の大原則はボランティア。現金が支払われていれば運動員買収に当たる。河井克行前法相が実質的な選対責任者を務めていたり、妻の案里参院議員が指示したりしていれば、夫妻に法的責任が及ぶ可能性がある。車上運動員の疑惑は、そもそも報酬の法定上限が安すぎるとの見方もあり情状の余地はある。今回の疑惑の方がより重大だ。振り込みの名義は自民党支部ということだが、政党支部は一般的に政治活動費などの名目で金を出すことは可能なものの、選挙関連の支払いであればいかなる名目でもできない。

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