「やっとという思い」木村花さんの母・響子さん 「侮辱罪」厳罰化の改正刑法成立

2022年6月13日 22時22分
「侮辱罪」厳罰化の改正刑法成立を受け、記者会見する(左から)木村響子さん、松永拓也さん、スマイリーキクチさん

「侮辱罪」厳罰化の改正刑法成立を受け、記者会見する(左から)木村響子さん、松永拓也さん、スマイリーキクチさん

 「侮辱罪」を厳罰化する改正刑法が国会で成立したことに、遺族や弁護士からは抑止効果が高まることへの期待とともに、包括的な対策の必要性を訴える声が上がった。
 「やっとという思い。まずは誹謗中傷が犯罪だということを知ってほしい」。交流サイト(SNS)上で中傷を受け亡くなった女子プロレスラー木村花さんの母響子さん(45)は13日、東京都内であった記者会見で訴えた。
 投稿者への刑が科料9000円だけだったことを「理不尽だ」と思い、署名活動などで厳罰化を呼びかけてきた響子さん。法改正を歓迎する一方、相手を特定するための情報開示請求の費用が高額で、訴訟上の慰謝料の相場は数十万円と低いなど課題を指摘。「成立して終わりではなく、ここからが始まり」と語り、国による被害者支援の拡充を求める考えも明らかにした。
 東京・池袋の乗用車暴走事故で妻子を亡くし、SNSで中傷された松永拓也さん(35)は「厳罰化というより、ネット社会に合わせてやっと適正化された。しっかり運用されることが抑止になる」と強調した。
 厳罰化を巡っては、表現の自由を制約するとの懸念が根強い。松永さんは「批判と誹謗中傷の境目は曖昧に感じる。表現の自由を守るためにもガイドラインの策定が急務だ」と指摘。響子さんは「一人一人のモラルが問われている。厳罰化が悪用されることがあれば声を上げていきたい」とも述べた。
 一方、厳罰化に反対する日弁連の意見書作成に関わった趙誠峰弁護士は「ネットの発達による現代的な犯罪を侮辱罪に当てはめるのは適切ではない。公共の利害に関する言論を萎縮させない手当てをした上で、メールなどを含め、誹謗中傷を正面から規制する法律を検討すべきだ」と主張した。(奥村圭吾、小沢慧一)

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