墨田区議長の不信任を決議 区議会「交代1年、慣例に従わず」議長は「2年単位に」続投意向

2022年6月14日 06時00分
 東京都墨田区議会の木内清議長(67)=9期目=が1年交代の慣例に従わず議長職にとどまっていることを受け、区議会は13日の本会議で木内議長の不信任決議案を賛成多数で可決した。決議に法的拘束力はなく、木内氏は議長職を続ける意向だ。
 地方自治法は正副議長の任期を議員の任期と同じ4年と規定するが、慣例として全国の地方議会で任期を短くし、議長職を持ち回りにする議会が多数を占めている。専門家から「本来は4年務めるのが筋」との指摘もあり、墨田区議会で起きた今回の事態は、地方議会の議長職のあり方に一石を投じる結果になった。

不信任決議案の可決後、報道陣の取材に応じる木内清議長=13日、墨田区役所で

 13日の墨田区議会本会議で不信任決議案を提出した最大会派「区議会自民党」の佐藤篤幹事長は、木内議長が同会派を除名され1人会派になったにもかかわらず議長職にとどまっており、多数の議員の信任を得られていないと説明。「本会議の進行を副議長に譲るなど議会運営の混乱を招いている」と批判した。自民、公明、共産など主要会派が賛成した。
 区議会事務局によると、地方自治法が施行された1947年以降、一時期を除き、議長は最大会派から選び1年で交代するのが慣例。木内氏は取材に「1年間の蓄積を次の1年に生かして議会運営を進めるためにも、議長職は2年単位が望ましい。経験と実績を国への要望活動などに生かしたい」と辞任を否定した。

◆「任期4年」規定 1~2年に、各区で慣例

木内清議長の不信任決議案を賛成多数で可決する区議たち=13日、墨田区議会本会議場で

 本紙が東京23区の区議会事務局に聞いたところ、議長は慣例などにより1〜2年で交代しており、議員の任期と同じく4年務めるとした区はゼロだった。墨田区議会では議長の月額報酬が他の議員より約30万円高い。「議長職を希望する議員が多いから順番に回すという慣例をやめ、政策論争で選ぶべきだ」と指摘する専門家もいる。
 全国市議会議長会が全国815市(東京23区を含む)の議会を対象に昨年行った調査で、議長任期に関する申し合わせや慣例が「ある」と回答したのは全体の約8割(639議会)を占めた。明治大公共政策大学院の広瀬和彦講師は、木内氏の言い分に「1年では職務を果たしきれないという考えは妥当だ」と理解を示す。
 議長選出の過程には疑問の声も。墨田区議会の不信任決議案に反対した一人会派の議員は本会議で「自民会派の持ち回りで議長を選出することは容認できない」と主張した。
 墨田区議会関係者によると、最大会派が決めた候補者が議長になるよう水面下で調整されるという。大正大の江藤俊昭教授(地方自治)は議長の選考に「公開の場で選挙をするのが本来のあり方だ」と指摘。一方で広瀬講師は「信任が得られない中で強行すれば良識に反する。慣例の変更を議会に投げかけるべきだ」と議長にとどまる木内氏を批判した。(三宅千智)

関連キーワード


おすすめ情報