福島第一原発事故、国の責任は 17日に最高裁が初判断 原発避難4訴訟の争点とは

2022年6月15日 06時00分
 東京電力福島第一原発事故で避難した住民らが国に損害賠償を求めた4件の訴訟の上告審判決が17日、最高裁第二小法廷(菅野博之裁判長)で言い渡される。原発事故の国の責任について最高裁が判断を示すのは初めてとなる。判決次第で国と東電を相手取った同種訴訟をはじめ、避難者への賠償の見直し議論や今後の原発政策など広範に影響が及ぶ可能性がある。(小沢慧一)
 争点は、巨大地震による津波襲来を予見できたかどうか、予見できた場合に事故を防ぐ対策を講じることができたかの2点。いずれの認定が欠けても、国は責任を問われない。焦点となるのは、政府の専門機関が2002年、巨大地震による津波の到来を予測した「長期評価」の信頼性だ。
 原告側は、長期評価について「権威ある機関により出された公的な見解で、客観的かつ合理的根拠を有する科学的知見だ」と指摘。「防潮堤を建設したり、重要機器室やタービン建屋を水密化していれば事故は防げた」とし、国は東電に対策を指示する義務があったと主張した。
 対する国側は、長期評価は当時、専門家間で異論がある知見で信頼性が低かったとした上で、「長期評価に基づいて想定された津波と実際の津波とでは規模も到来の方向も異なり、敷地への浸水は防げなかった。水密化の技術も当時は確立していなかった」と反論している。
 避難者らの集団提訴は全国で約30件あり、原告は計1万人を超える。4訴訟は福島、群馬、千葉、愛媛で起こされ、二審では群馬以外の3件で国の責任が認められた。東電に対しては今年3月、4訴訟で計約14億円の賠償を命じる判決が最高裁で確定している。
 福島訴訟弁護団の馬奈木厳太郎弁護士は「現在、賠償金は東電しか払っていない。国が『加害者』となれば賠償の在り方が根元から変わり、除染や汚染水の海洋放出問題など、原発事故に関わる多くの政策に大きな影響を与える」と意義を強調する。

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