日本映画、最高益でも働く人の6割は年収300万円未満...是枝監督ら共助目指し新団体<役所広司さん動画>

2022年6月14日 21時33分
 是枝裕和さんを含む映画監督らが14日、東京都内で会見し、映画業界全体の収益の一部を徴収して支援金として再分配する仏国立映画センター(CNC)を念頭に、日本でも共助のシステムの導入を目指すための団体を設立したと発表した。会見した諏訪敦彦監督は「一部の会社が恩恵を受けるのではなく、業界全体で収益を分け合い、(業界で働く人を)自律的に支援する団体が必要だ」と強調した。

「日本版CNCを求める会」設立の経緯を説明する映画監督の是枝裕和さん(中)=14日、東京都千代田区の日本外国特派員協会で

 団体の名称は「日本版CNC設立を求める会」(通称:action4cinema)。日本の2019年の興行収入は2600億円と過去最高益だった。一方、業界で働く人の現状を見ると、年収300万円未満が6割以上を占め、大部分は映画だけでは生活できない。
 19年の日本政府の映画支援の補助金は35億円。一方、仏CNCは同じ年に410億円を映画製作や企画、配給などの支援に回した。韓国にもKOFICという同様の団体がある。西川美和監督は会見で「仏では映画界が強靱きょうじんな団体を作ったが、日本には相当するものがない」と必要性を訴えた。
 是枝監督によると、これまで1年にわたり、文化庁や日本映画製作者連盟(映連)と協議を重ねたが、大手映画会社の東宝(島谷能成会長)などが収益の一部を団体に回すことに同意していないという。是枝監督は「映連は1年話して全く動かない。強く働きかけ、明るく前向きに動かしたい」と意気込んだ。
 俳優役所広司さんも動画でメッセージを寄せ「才能ある映画作家たちが、素晴らしい企画を持ちながらも単に映画界の経済的な事情などで実現しない現状は寂しい。才能を発揮できる環境を用意してあげることが世界に誇れる日本映画を生み出す大きな力になる」と話した。

◆ハラスメント防止のガイドライン草案も

 同会は、映画業界で被害が相次ぐハラスメント防止に関するガイドラインの草案も作成。「オーディション目的でも(俳優に)1人で個室に来るように要求してはならない」などと具体的な対策を盛り込んだ。映画などの企画、製作にも携わる四宮隆史弁護士は「これをたたき台に、より精緻な汎用性のあるガイドラインにしたい」と話した。船橋淳監督は「映画業界は権力勾配の問題があり、監督やプロデューサーが放置してきた。日本版#MeTooで騒がれてるが、無意識の問題。ガイドラインつくっただけで変わるものではない」とも指摘した。(望月衣塑子)

おすすめ情報

社会の新着

記事一覧