堀切のハナショウブ 江戸の名勝 今なお

2022年6月15日 22時33分
東京都葛飾区の荒川河川敷に広がる「堀切水辺公園」。その一角であでやかなハナショウブが咲き競う。背後には梅雨空へ突き刺さるようにそびえる東京スカイツリー。
ハナショウブは約二百種類、八百株。近くの名所「堀切菖蒲(しょうぶ)園」から株分けされ、二〇〇四年から地元有志の「花菖蒲を育てる会」が維持管理する。黒川幹雄会長は「この時期、毎朝五時過ぎに来て花を手入れする。今年も咲いてくれてありがとう、と感謝を込めてね」と話す。
堀切のハナショウブは江戸末期、歌川広重の錦絵「名所江戸百景」にも描かれた。当時は葛西三万石といわれた水田地帯。花き栽培も盛んで花菖蒲園が続々と開園し、多くの見物客でにぎわった。
堀切菖蒲園でも現在、約二百種類、六千株が見ごろだ。「今年は寒い日が多く背丈が低いが、色づきは良い」と管理事務所。十九日まで葛飾菖蒲まつりが開かれている。
堀切では広重が見たような田園風景の面影は失われたが、江戸っ子が愛した粋な大輪は大切に受け継がれている。
(写真・木口慎子/文・戸上航一)

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