自民党「最低賃金1000円」は参院選公約に明記せず 6年前は重点政策だったが…未達成

2022年6月16日 19時43分

自民党の政策パンフレット表紙

 自民党は16日、参院選公約を正式に発表した。物価高騰によって賃金上昇を求める声が強まり、政府も賃上げを目指す考えを示している中、公約には、3年前や6年前の参院選では掲げていた最低賃金1000円の目標が盛り込まれなかった。多くの政党が具体的な数値目標を掲げているだけに、慎重な姿勢が目立つ。(デジタル編集部・福岡範行、政治部・佐藤裕介)

◆高市政調会長は言及するも…

 安倍晋三首相(当時)が先頭に立った6年前の参院選の公約では、重点政策として「最低賃金1000円を目指します」と記載し、3年前は詳細な公約の一覧を並べる「政策BANK」に「全国加重平均1000円を目指します」と書いた。いずれも達成時期は記載していない。
 岸田文雄首相は分配を重視する姿勢を示し、今月15日の記者会見でも「賃上げと投資を進めることで今の物価高騰に結果を出していく」と述べた。
 
 ただ、党総裁就任直後に臨んだ2021年の衆院選の公約では目標値を示さず、「最低賃金の引上げに対し、業況が厳しい業種やパート多雇用企業への配慮と支援を強化するとともに、賃金上昇分を価格転嫁できるよう下請取引の適正化等に取り組みます」と訴えた。
 この日発表した2022年の参院選公約では「人への投資を促進し、25年ぶりの本格的な賃金増時代を創ります。同一労働同一賃金、男女間賃金格差解消、最低賃金引上げ、賃上げ税制、取引関係の適正化、公的価格の見直し、非財務情報の開示などを進めます」とは表記しているものの、具体的な数値目標は明記していない。
 公約を発表した高市早苗政調会長は、記者から賃上げ政策への見解を問われて、最低賃金について「できる限り早期に全国加重平均が1000円以上となることを目指している」と述べた。ただ、公約に目標額を記載しなかった理由には直接答えず、労働者や企業側の代表者らによる審議会での議論に委ねる姿勢を示した。自民党側から、最低賃金の引き上げは企業側の負担となるため、中小企業の生産性向上なども平行して対策するという補足説明もあった。

◆他党は、達成時期の明記や「1500円」相次ぐ

 厚生労働省の地域別最低賃金の全国一覧によると、2016年度の全国加重平均は823円。15年度以前からの上昇傾向が続いて、21年度には930円になったものの、今回の参院選で改選となる議員の任期中6年間では「1000円」の公約は達成できなかった。
 与党の公明党は6年前の参院選公約で「全国加重平均1000円をめざした最低賃金の引き上げを行う」と記載。今回、2022年の参院選公約では「2020年代前半には全国加重平均で1000円超に」などと時期も明記している。
 野党は、立憲民主党、共産党、れいわ新選組、社民党が「1500円」の目標を掲げた。国民民主党は「時給1150円以上」を記載。日本維新の会は賃金水準の向上はうたうものの、目標値は示していない。NHK党は6月16日午後6時時点で、ウェブサイトの「公約」に賃金に関する記載はなかった。

自民党の公約 自民党の国政選挙での公約は通常、「政策パンフレット」に載せる重点政策と、詳細な政策を一覧にした「政策BANK」がある。2022年の参院選では重点政策だけを示し、「政策BANK」は21年の衆院選で示した約束が継続していると位置付けた。最低賃金の数値目標は、そのどちらにも載っていない。22年参院選に合わせて示した「総合政策集2022 Jーファイル」には、最低賃金について「できる限り早期に全国加重平均1000円以上」と記載しているが、自民党は記者会見でJーファイルには検討中の政策も含まれているとして、正式な公約とは異なるという説明をしている。


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