「男女ともに働きやすい医療現場に」改善の動き コロナ禍で気づいた「異常」とは<参院選・くらしの現在地③>

2022年6月17日 06時00分
 女性は妊娠するから迷惑ー。女性比率が2割程度にとどまる医師の世界では、男性優先の風潮が根強く残る。「男女ともに働きやすい職場を」。22日に公示される参院選では、環境改善を切望する女性医師たちの声は届くのか。

◆「結婚はいいけど、妊娠はしないでね」

 「将来、あなたも迷惑をかけるのだから、先輩の穴埋めはしなさいね」
 首都圏の大学病院に勤める30代の女性内科医は10年ほど前、男性上司にかけられた言葉を覚えている。
 「え?」と思ったが、反論できず、妊娠した先輩の分も含めて月8回、当直に入った。通常の倍だ。独身時代には職場で「結婚はいいけど、妊娠はしないでね」とも言われた。
 2018年、東京医科大など複数の大学の医学部入試で女子受験生を不当に減点していたというニュースを見た。別に驚かなかった。長時間労働が常態化した男性主体の職場では「必要悪」とさえ思った。

◆働き方改革を進め、定時で帰る男性医師の姿も

 新型コロナウイルスの感染拡大前は、東京都立病院に勤めていた。毎朝7時に出勤、外来診療や入院患者の治療、自己研さんなどで帰宅は連日、午後10時ごろだった。土日も緊急の電話を受け、気になる患者は様子を見に行った。
 そんな働き方は、コロナ禍を機に変わった。外出制限で患者が減ると、本当に医療が必要な人だけに診療ができ、余裕が生まれた。「今までが異常だったと気付いた」
 この春、働き方改革に取り組む現在の病院に移った。医師が多く、3~4人で患者を診る「チーム医療」を進める。自分が休む日は他の医師が担当するのが当たり前。院内では「長時間勤務ができないと、給料が減る」と反発もあったと聞くが、当直手当を増やして対応していた。オンライン診療や電子カルテの共有など効率化も進む。育児などで定時で帰る男性医師もいる。

◆女性が辞めずに済めば、人手不足も解消に向かう

 国は24年春から、時間外労働の上限規制など医師の働き方改革に本腰を入れる。19年に施行された働き方改革関連法は、地域医療への影響を考慮して5年間猶予されていたためだ。
 参院選でも、医師の過酷な働き方やジェンダー不平等は焦点の1つだ。女性内科医は「コロナ禍で医療が逼迫した背景もふまえて、政策を考えてほしい。男女どちらでも働きやすいように、システムを変えていかないと」と訴える。
 首都圏の公立病院の放射線治療医の女性(38)は「今は過渡期」とみる。保育園児2人を子育て中。医師の夫と家事育児を分担し、常勤を続ける。
 「多様な働き方ができれば、女性が辞めずに済み、人手不足も解消に向かうはずだ」(奥野斐)

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