平時も有事も頼りになる「走る蓄電池」 電気自動車(EV)の給電機能に注目<まちビズ最前線>

2022年6月19日 06時00分
 電気自動車(EV)が「走る蓄電池」として注目されている。パソコンを使って職場と離れた場所で働くリモートワークが定着し、電子機器に電気を送れるEVの「給電」機能を使う場面が増えたためだ。災害時には非常用電源としての顔も持ち、平時から有事まで幅広い場面で活用されそうだ。(大島宏一郎)

EVのバッテリーを電源に使ったワーケーション=神奈川県小田原市で

◆アウトドアと好相性

 5月下旬、新緑の木々に囲まれたキャンプ場「いこいの森」(神奈川県小田原市)の場内で、観光地で仕事する「ワーケーション」の体験が行われていた。日産のEV「リーフ」と箱型の給電器を電線でつなぐ自治体関係者ら。給電器から電気が届き、スマートフォンなどの充電ランプに明かりがともった。
 リーフの電池容量は一般家庭で使う電力の約3日分に相当する。キャンプ場で貸し出している湯沸かし器や空気循環器、炊飯器も動かせる。キャンプ場の運営会社「Recamp」(東京都目黒区)の宮田蘭丸さん(33)は「(屋外で給電できる)EVはアウトドアと相性が良い」と話す。このキャンプ場もコロナ禍で、東京からワーケーション目的で来る人が増加。宮田さんはEVの給電機能についても広めたい考えだ。

パソコンを充電できるなどテレワークにも使える日産自動車「リーフ」の車内=神奈川県小田原市で

◆快適な仕事場に

 EVの給電機能は、都市部でも移動の合間に活用できる。リーフのカーシェア会社「REXEV(レクシヴ)」(神奈川県)は、パソコンの充電に必要なインバーターという機器を全車両に配備。取締役の藤井崇史さん(40)は「EVは停車時も煙や音が出ない。個室として利用しやすい」と利点を説明する。実際、20~40代の男性からは「営業の合間など車内は仕事しやすい」との声が目立つ。

カーシェア会社「REXEV」が開いたイベント。「リーフ」と箱型の給電器が展示された

 ホンダが2020年秋に発売したEV「Honda e(ホンダイー)」の開発責任者の一瀬智史さん(58)も開発の際に、「自宅と同じような車内空間にしたい」とテレワークを意識。「快適な状態で仕事できる環境」を目指したと話す。車内でも家庭と同じ100ボルト電源やWi-Fi環境が利用できるようにした。

「Honda e」は車内に大きな画面が設置されているのが特徴だ=東京都港区で

◆避難所に給電も

 災害時にも役立つ。日産は19年秋の台風で停電の影響を受けた千葉県にリーフを派遣し、避難所に電気を供給した。EVの給電機能がアウトドアやテレワーク、災害時など幅広い場面で使われていることに、一瀬さんは「車の価値は移動手段にとどまらない。とまっている時の価値も高め、社会生活の中で役立つものにしたい」と話した。

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