使い捨てから循環経済へ リサイクルできるビニール傘を開発した「サエラ」<都の企業とSDGs>

2022年6月19日 06時00分
 服飾雑貨の「サエラ」(東京都港区)は「つかいすてない傘」を掲げ、リサイクル可能なビニール傘などの製造を通じて、持続可能な社会の実現を目指している。将来的に傘の販売、回収、再利用という仕組みを整える考えで、山本健社長(66)は「傘の循環経済をつくりたい」と意気込む。(押川恵理子)

新商品「サステナブレラ」を差して「傘の循環経済をつくりたい」と話す山本健さん=東京都港区で

◆捨てられた傘を見ると「自分が捨てられているよう」

 傘製造のきっかけは、山本さんが就職した貿易商社で台湾の洋傘製造工場の設立を任されたことだ。その後、独立。始まりは偶然だったが、今は傘が自分のアイデンティティーという。路上に捨てられた傘を見ると「自分が捨てられているように感じる」と話す。
 日本洋傘振興協議会(台東区)の推計では洋傘の年間販売数は約1億2000万本。サエラによると、ビニール傘は約6000万本が販売され、そのうち使い捨ても少なくない。そうした消費のあり方を変えようと、山本さんは2000年ごろ、環境に配慮したビニール傘の開発を始めた。

◆傘を大切にする文化が根付けば「世の中が変わる」

 06年、生地を交換できる傘を発売し、17年には骨組みも含めて全部品がプラスチック製の傘を開発。今年4月には他社と協働し、再生プラスチックなどを素材とする傘「サステナブレラ」(税込み1100円)を発売した。循環経済を成り立たせるには「例えば、形がふぞろいの果実でも商品価値を認めて買うといった考え方が消費者に浸透することも大切」とみる。
 傘を題材に環境や社会問題を考える親子向けの体験型講座も開いている。持続可能性の追求が「商品の独自性につながり、会社の存在意義にもなる」と話す。自社の傘を使う人を街中で見掛けた時が最もうれしい瞬間だ。「日常的に使う傘を大切にする文化が根付けば、世の中が変わっていく」。そう信じている。

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