国民の努力頼みで2年半 後手後手対策も死者抑えたコロナ対策<参院選・くらしの現在地④>

2022年6月19日 06時00分
 新型コロナの流行が始まって2年半。他国に類をみない国民の自主的な行動制限や感染対策が奏功し、国内の死者は米国の3%、英国の16%にとどまる。他方、3人の首相の下、対策が後手に回って感染が拡大し、国民の不信感を招いたケースも幾度かあった。

◆政府の相次ぐ不評策に冷ややかな目

 新型コロナ患者の初確認から約2カ月後の2020年2月末、安倍晋三首相(当時)は突然、全小中高校に休校を要請した。当時、全国の1日の新規感染者数は約20人。子どもの預け先を失った保護者らは仕事に行けず、収入減や医療従事者の不足が起きた。
 布製「アベノマスク」も不評を買った。400億円で2億8000万枚を調達したが、8000万枚以上を放置。保管費用は6億円を超えた。
 第1波で、病床は逼迫ひっぱく。初の緊急事態宣言を出したが、欧米の都市封鎖(ロックダウン)のような強制措置は取らず、飲食店の営業自粛、外出制限、マスク着用など、「要請」に基づく国民の努力に頼った。安倍氏は同年5月の記者会見で「日本モデルの力を示した」と胸を張ったが、冷ややかに見る向きもあった。

国内の新規感染者数と主な政策

 20年秋、体調不良を理由に退いた安倍氏の後を継いだ菅義偉首相(当時)は経済回復を急ぎ、観光支援策「Go To トラベル」を年末まで継続。第3波に突入し、野党は「総理がGo To トラベルにあまりにもこだわり、全国に感染が広がったことは明白。人災だ」と批判した。

◆ワクチン争奪戦に出遅れ、病床逼迫

 同時期、米国は米ファイザー製ワクチンの緊急使用を認め、接種を始めた。菅氏はファイザーの責任者と直接、電話会談を行うなど積極的に動いたが、世界のワクチン争奪戦に出遅れた。高齢者接種の本格化は21年4月下旬。米モデルナ製も調達し、一般接種を加速させたのは同年6月だ。
 結果、デルタ株による第5波を防げず、全国で病床が逼迫して自宅療養中に亡くなる人が続出。1年延期で迎えた東京五輪・パラリンピックは、ほとんどの会場で無観客開催となった。
 菅氏は新型コロナ対策を巡る支持率低下が響いて退陣。岸田文雄首相になった昨秋、国内の感染状況は落ち着いていたが、英国などではオミクロン株が猛威を振るい始めていた。
 ワクチン効果は半年で半減するとされ、3回目接種が必要だったが、政府は接種2回目から8カ月空けるよう自治体に要請。「科学的根拠がない」と不満が噴出すると、一転「6カ月に前倒し可能」とした。その間、第6波が始まり、全国の1日の新規感染者数は最多の10万人に達した。

◆「内閣感染症危機管理庁」創設も、実効性は未知数

 3回目接種の効果で、現在、感染状況は改善している。行動制限が不要となり、政府は観光支援の旅行割引「県民割」など景気対策を急ぐ。
 一方、遅まきながら政府は17日、感染症対策を一元的に担う「内閣感染症危機管理庁」創設を決めた。病床を確保できるように体制強化も目指す。だが、強制力を伴うような法改正は難しく、どこまで実効性を持たせられるかは未知数だ。(沢田千秋、原田遼)
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