パワハラ自殺 労災申請へ 三菱電機社員遺族 「死と向き合って」

2019年12月18日 16時00分

配属先の指導員からハラスメントを受け、自殺した三菱電機の新入社員が現場に残したメモ=18日、東京・霞が関の厚労省で

 三菱電機の男性新入社員が自殺し、兵庫県警が自殺教唆容疑で上司を書類送検した事件で、遺族側の弁護士が十八日、東京都内で記者会見し、パワハラで精神的に追い込まれたとして今後、労災申請を行う考えを明らかにした。「三菱電機は息子の死ときちんと向き合ってほしい」とする遺族のコメントも公表。同社に対する損害賠償請求訴訟の準備も進めるという。
 男性は八月二十三日に自殺しているのが見つかり、職場で教育主任から「自殺しろ」「殺すからな」などと言われたとの書き置きを残していた。
 弁護士は会見で、書き置きの内容を公表。教育主任の発言を日付とともに記載してあり、作成日は発見前日となっていた。弁護士は「パワハラに当たる行為があった」と指摘した。
 教育主任の暴言として、同十九日に「おまえが飛び降りるのにちょうどいい窓あるで、死んどいた方がいいんちゃう」、二十一日には質問に答えられなかった新入社員に「自殺しろ」との内容も記されていた。
 遺族はコメントで「息子の仕事に関するノートやメモを見ると、いろんな思いが浮かび胸が張り裂けそうです」と心情を吐露した。
 男性は技術職として四月に入社し、七月にシステム開発などを担う生産技術センター(兵庫県尼崎市)に配属された。男性が日常的に暴言を受けていたとの証言があり、兵庫県警三田署は十一月、自殺教唆容疑で教育主任だった三十代の男性社員を書類送検した。
 同社の技術職や研究職では二〇一四~一七年、長時間労働などが原因で男性社員五人が精神障害を患うなどして相次ぎ労災認定され、うち二人が自殺。また子会社の男性社員が一七年に過労自殺し、今年十月に労災認定されたことも明らかになっている。

◆遺族「いまだ苦しい」 癒えぬ悲しみ 心境つづる

 自殺した三菱電機の男性新入社員の遺族は十八日、文書で心境を明らかにした。「周りに気遣いができる優しい息子だった」。生前の様子を切々と振り返り「死を現実に受け止めることができず、いまだ苦しい」とつづった。
 文書によると、男性は幼い頃から「コツコツと努力ができる」タイプで、運動部に所属していた学生時代、夜遅くに帰宅しても「おなかいっぱいになると眠くなってしまう」と、夕食より先に勉強に励んでいたという。
 自殺直前のお盆休みに帰省した際は、初めてのボーナスで親に焼き肉をごちそうし「大学に行かせてくれてありがとう」と改めて感謝を口にした。
 「今になって思えば気になるそぶりがいくつかあり、あの時に何かできることがあったはずだと悔やんでも悔やみきれない」と遺族。「いまだに息子はどこかで生きていて、年末には『ただいま!』と言って帰ってくるような気がしてならない」と記した。三菱電機に対しては「これまでの対応を見る限り、反省の色は見られず保身に全力を注いでいるように感じる」と批判した。

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