<フロンティア発>アイガモロボット 水田に現る

2022年6月19日 07時52分

アイガモロボットの開発者やデザイン担当者=有機米デザイン提供

 日本各地の水田に「アイガモロボット」が現れ、すいすいと泳ぎ回っています。農業ベンチャーの「有機米デザイン」(東京都小金井市)が開発中のロボットで、農機大手の井関農機の出資を受け、実証実験を進めています。両社は「来年には実用化したい」と話しています。
 ロボットは、アイガモ農法を参考に考え出されました。役目は、水田の土壌をかきまぜ、日差しをさえぎり、雑草が育つのを抑えることです。

水田をかきまぜ、雑草を抑えるアイガモロボット=井関農機提供

 大きさは、畳半畳くらい。いかだのように水面に浮かび、底面に取り付けられたらせん状のスクリューを回転させ、前進しながら、水をかきまわします。
 農家は事前に、スマホアプリから田の形を入力しておきます。アイガモロボットは、グーグルマップと衛星利用測位システム(GPS)の情報をもとに、田からはみ出さないように自律走行します。
 動力は電気です。太陽電池パネルと蓄電池を搭載し、曇りの日でも動かすことができるといいます。
 うまくいけば、除草剤の使用を減らしながら、草取りの労力を省くことができます。農薬の使用を最小限にする有機農法では、除草作業の時間が、普通の栽培法と比べ5倍もかかり、大きな負担になっています。一方、本物のアイガモを水田に放つと、土壌がかきまぜられるだけでなく、虫を食べてくれます。しかし、えさ代がかかるうえ、稲が育ったら食肉として処理しなくてはならないなど、一般の農家では導入が難しい事情があります。
 これまでもアイガモロボットを開発する試みがありました。岐阜県情報技術研究所が農機メーカーと組んで実証実験を数年間行いました。しかし生産コストが高かったことや、自律走行の仕組みに課題があったことなどから、商用化には至っていません。
 今回も課題は価格だといいます。農家に利用しやすい購入方式も考えるそうです。商品の供給や不具合時の修理対応は、井関農機との協力で解決できそうだといいます。
 かわいいアイガモロボットは有機農法の救世主になるでしょうか。 (吉田薫)

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