国数記述式 無期限見送り 振り回された受験生

2019年12月18日 02時00分
 二〇二一年一月に初めて実施される大学入学共通テストの国語と数学で出題予定だった記述式問題について、萩生田(はぎうだ)光一文部科学相は十七日の閣議後会見で、無期限の見送りを表明した。先月には英語民間検定試験の導入も延期され、入試改革の象徴だった二本柱がともに失われた。度重なる変更に振り回されてきた学校現場からは「どんな入試になるのか、全容を早く公表してほしい」という声が上がっている。 (柏崎智子)
 萩生田文科相は記述式を見送る理由について、約八千~一万人が必要とされる採点者がテスト実施の直前まで決まらない見通しであることや、採点ミスが起きる可能性が残ること、受験者の自己採点と実際の得点の不一致を大幅に減らせないことが判明したためと説明。「受験生の不安を払拭(ふっしょく)し、安心して受験できる体制を現時点で整えることは困難だと判断した」と述べた。
 共通テストへの導入は白紙に戻すが、記述式は必要だとして、各大学へ二次試験などで実施するよう促す方針。英語民間検定試験の延期を検証するため今月中に設置する検討会議の中で、記述式を今後どうするのかも併せて話し合う。
 共通テストは、全問マークシート式の現行の大学入試センター試験では思考力や判断力、表現力が問えないとして開発された。国語と数学で各三問ずつ出題する記述式は改革の象徴で、現行の大学入試センター試験に比べ、国語は二十分、数学は十分、試験時間を延長する予定だった。
 ところが記述式がなくなったため、全体を見直す必要が出ている。設問を減らすのか、試験時間はどうするのか、ほかの出題も内容を変更する必要があるのかなど、大学入試センターは「文科省の方針が固まり次第、早急に検討したい」としている。
 東京都立西高校校長で全国高等学校長協会の萩原聡会長は「共通テストはマークシート式の出題もセンター試験とはだいぶ違う。そのままの形式でいくのか、センターの方式に戻すのか、全体の構成をどうするのかなど、早く明確に示してほしい」と話した。

◆「私たちの声に耳を傾けて」

 最初に共通テストを受けることになる高校二年生からは憤りと安堵(あんど)の声が入り交じった。
 「やるなら準備しなきゃと、塾で対策講座を受けていたのに、無駄になった」。こう話すのは、千葉県内にある高校二年の女子生徒(16)。記述式の自己採点は「きちんと自己採点できるのか怖かった」と不安だったといい、「英語の民間検定試験を含め、すべて振り回された。大人にはもっとしっかりしてほしい」と注文を付けた。
 ネット上で自己採点の再現実験をした首都圏に住む高校二年の男子生徒(16)は「記述式が駄目になることは見えていたが、とりあえず安心した」。今後の入試のあり方については「入試制度を変えて高校教育を変えようとするのはやめてほしい。受験生ファーストで、高校生や現場の先生の声に耳を傾けて、みんなで広く議論して進めてほしい」と要望した。

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