不自由展中止「不当でない」 検討委最終報告 危険、やむを得ず

2019年12月18日 16時00分

「表現の不自由展・その後」で展示された「平和の少女像」=8月、名古屋・栄の愛知県美術館で(榎戸直紀撮影)

 国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」が一時中止した問題を巡り、一連の経緯を検証してきた検討委員会は十八日、最終報告と提言をまとめた。展示方法の不適切さや説明不足を指摘し、準備プロセスや組織体制に多くの問題点があったとした。今後の運営体制に関し、愛知県知事が務めていた実行委員会会長の民間人起用や芸術文化の専門家らで構成する諮問機関の設置など抜本的な見直しを提起した。
 最終報告は、開始三日で中止を決めた判断に関しては脅迫や電話による抗議が殺到した点を挙げ「やむを得ず、表現の自由の不当な制限には当たらない」とした。
 作品の選定について、過去に公立美術館で展示が禁止になっていない作品や新作がまじり、不自由展のコンセプトから外れていたと指摘。芸術監督の津田大介氏や学芸員ら関係者のチームワークが形成されていなかったとした。
 また芸術監督に多大な権限が与えられる一方、判断ミスや誤りを抑止する仕組みがなかったと運営体制の不備にも言及した。
 提言は、地域の魅力発信や課題を解決する力があるとして「今後も開催し続けるべきだ」と求めた。
 最終報告を受け、大村秀章知事は「提言をしっかり受け止め、県民の理解を得る中で次のトリエンナーレに向けてしっかり取り組んでいきたい」と述べた。
 検討委は県が設置し、座長の山梨俊夫国立国際美術館長や憲法学者ら計六人で構成された。
 大村知事は三年後の次回開催を目指す。ただ文化庁の補助金不交付や名古屋市の分担金支払い問題は最終決着していない上、運営体制の見直しも必要になる。
 不自由展は元慰安婦を象徴する「平和の少女像」や昭和天皇の肖像を使った作品を燃やす映像などに抗議が相次ぎ、八月一日の開幕から三日で中止になった。十月上旬に再開し、トリエンナーレの閉幕まで六日間公開された。
<表現の不自由展・その後> 国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」内で開催された企画展。国内の公立美術館などで、「抗議の恐れ」や「政治的」との理由で発表できなくなった作品を集めた。2015年に東京のギャラリーで開かれた「表現の不自由展」が原型。元従軍慰安婦を象徴する「平和の少女像」や昭和天皇の肖像を使った創作物を燃やす映像作品が激しい批判を浴び、開始3日目で中止された。参観方法や警備対策を見直した上で約2カ月後に再開した。

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