コロナ禍で疲弊した東南アジア各国、外国人観光客受け入れ全開へ 日本ツアーはといえば…

2022年6月20日 06時00分

タイ・バンコクで11日、現地の人気ドラマのロケ地を観光で巡り、スマホ撮影に熱中する日本からの旅行者

 東南アジア各国が新型コロナウイルス禍で疲弊した経済立て直しに向け、主力の観光業の復活にまっしぐらだ。入国規制や国内の行動制限はほぼ撤廃され、コロナ以前の姿に戻りつつある。一方、旅行先として人気の日本も観光客の受け入れ手続きを再開したが、「まだ気軽には…」ともどかしげな声が上がる。(バンコク・岩崎健太朗、写真も)

◆マスク着用も緩和へ

 若者でにぎわうバンコクのバー。今月中旬の夜、初めてのタイ旅行という静岡市の幼稚園教諭の女性(42)は「とても来たかった場所。念願がかなった」と歓声を上げ、スマホを手に撮影に熱中していた。バーは、日本でも人気のタイのBL(ボーイズ・ラブ)ドラマで主人公がアルバイトしていた人気店。現地ツアーの訪問先の一つで、タイ政府観光庁大阪事務所や現地旅行会社が、観光客誘致の新コンテンツに据える「ドラマのロケ地巡り」のモデルケースとして企画した。
 タイは観光業が国内総生産(GDP)の2割を占めていたが、2019年に4000万人近かった外国人旅行者が昨年は約43万人に激減。国内旅行は一足早く復調したが、観光収入の回復には外国人旅行者が頼みだ。観光業界が政府に「以前と変わらぬ自由な旅行」を働き掛け、検疫隔離やPCR検査などはすでに廃止。7月からはスマホアプリの事前登録や保険加入義務もなくなり、欧米人に不人気のマスク着用も緩和の方向だ。前出の女性は「入国手続きはスムーズだった。はまりそう、必ずまた来ます」と満足そうだった。

◆再来年にはコロナ前の水準に

 東南アジアの国々は今年に入って「完全な開国」に向けて競い合う。新規感染者数が高止まりしていても、ワクチン接種の広がりや重症化の抑制が進んでいると判断。カンボジア、フィリピン、ベトナムなどがいち早く隔離措置を撤廃すると、周辺国は「観光客を奪われる」との焦りもあって、検査免除など入国手続きを緩和する流れができた。
 タイ政府観光庁のチューウィット東アジア局長は「順調に推移すれば来年は以前の50%、再来年はコロナ前の水準に。旅行マインドは高まっているので、他国も含めて受け入れ態勢が以前の状況に戻ることを期待する」と話す。

◆複雑なガイドライン、旅行代金も高く

タイ・バンコクで13日、ワット・アルンを望むレストランでタイ料理を楽しむ日本からの旅行者ら

 10日から観光客の受け入れ手続きを再開した日本だが、バンコクの旅行会社の責任者パチャラパーさん(45)は「問い合わせは多いが、ツアーを組むシステムや旅行中の行動のガイドラインがとても複雑で、準備が遅れている」と秋ごろの本格再開を見込む。現状では1日2万人、添乗員付きの団体ツアーに限られ、煩雑な健康確認システムなども求められる。コロナ前は免除されていたビザ取得や、PCR検査費用などを含めると、旅行代金は以前の3〜4割高という。
 訪日したタイ人は19年に約132万人と過去最高を記録。複数の調査で日本は訪れたい旅行先の1位になった。以前は年間1000人以上の訪日旅行者を扱ってきたパチャラパーさんは「緩和が遅れれば、欧州やシンガポールなどが代替の選択肢になる」と話した。

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