拳銃をなぜ置き忘れるの? 制服警官の「トイレ」は意外と面倒

2019年12月17日 11時42分

拳銃射撃の大会で技能を競う警察官

 警視庁町田署の男性警部補(49)がコンビニのトイレに実弾入りの拳銃を置き忘れた。同様の失態は、今年だけでも兵庫県警の女性巡査長がJR構内のトイレで、島根県警の男性巡査が大阪で開かれたG20サミットの警備の中で犯している。悪用されなかったからよかったものの、なぜ拳銃を体から離して置き忘れてしまうのか。 (佐藤直子)
 まずは今回の町田署員のケースから。
 警視庁の人事一課によると、警部補は同署生活安全課に勤務。十五日朝、東京都町田市内のコンビニに入り、男性用のトイレ個室で実弾五発入りの拳銃を取り付けたベルトを外し、壁のフックにかけたままトイレを出た。直後に入った別の客が見つけて、店員が一一〇番通報。警部補はニセ電話詐欺の被害防止のため、同僚とコンビニの現金自動預払機(ATM)などを見回っていたという。
 兵庫県警では九月、鉄道警察隊の二十代の女性巡査長がJR相生駅の女子トイレ個室に、実弾入りの拳銃などを装着したベルトを置き忘れ、勤務に戻った。一時間余り後に別の女性利用客が見つけ、駅に届けた。
 大阪でも六月に開催されたG20サミットの際に、警備に派遣された島根県警の二十代の男性巡査が空港近くのビルのトイレで、実弾入りの拳銃や手錠などをつり下げたベルトを個室の棚に置き忘れた。
 「え、なんであんな重たいものを置き忘れるのかなあと思いますけど。置き忘れと聞けば、大きい方の用を足していたんだなって思いましたよ」
 四十代の元女性警察官は語る。交番勤務など制服警官の場合、腰回りには拳銃や手錠、警棒などの装備品を装着携行するための「帯革」と呼ばれる分厚い皮ベルトをはめる。拳銃のグリップの底部に結び付けたつりひもを帯革に通して拳銃の落下を防いでいる。
 「帯革はズボン用のベルトの上につけるので、男性の場合は、前チャックを開けて小用は足せるが、大きい方はできない。女性の場合はどちらもそのままではできない。つけたりはずしたり、三十秒ほどかかるので、本当に大変ですよ」
 ちなみに、町田署員のケースのような私服警官の場合、拳銃の携行方法は制服警官とは違う。警視庁人事一課によれば、「署員は拳銃を収めたホルダーを腰のベルトにつけていたが、ホルダーを外さなくても用は足せた」という。
 それなのに、なぜホルダーを外してしまうのか。同課は「外さずに用を足せば、拳銃がトイレの床についたりすることもあるので、それがいやで外す人もいる」と説明する。
 拳銃の置き忘れは重大事件につながりかねない。これだけ続くのだから、携行の方法にも問題があるのではないか。
 警察ジャーナリストの吉田武さんは「私服の時は格好が悪くても、拳銃が体から離れないようひもで結ぶなどしないと、置き忘れは防げないのではないか」と語る。しかし、制服警官については「帯革ごと外して忘れている。どうしたらいいんでしょうかね」と吉田さんもお手上げだ。
 「同僚」は置き忘れに厳しい目を向ける。関東地方の現職警察官は「私は自分の所属する警察署のトイレを使う。時々交番で借りることはあっても、コンビニのトイレを使うことはまずない。制服であれ、私服であれ、拳銃を忘れるなんて、本人の不注意の問題でしかない」と言い切った。

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