千葉・船橋市の旧南極観測船「SHIRASE5002」 持ち帰った石や観測機器など展示、一般公開も視野

2022年6月20日 11時50分

係留されている「SHIRASE5002」

 千葉県船橋市の臨海部にいかりを下ろす旧南極観測船「SHIRASE5002」で、南極観測にちなんだ品々の収集が進められている。東京湾に突き出た工場地帯脇に接岸しているため、一般の立ち入りはできず、その姿もほとんど見ることができない。イベント時などには公開されてきたものの、コロナ禍のため現在は中止。その一方で、南極の石や各種観測機器などを集めた展示に力を入れており、コロナ後の一般公開も視野に入れている。(保母哲)

 SHIRASE5002 南極観測船では3代目で1982〜2008年に使われた。日本と南極を計25回往復し、昭和基地に物資や人員を輸送した。退役後はスクラップになることが決まっていたが、09年にウェザーニューズ(千葉市)が引き受け、船名を「しらせ」からローマ字の「SHIRASE」に改称。現在地に係留されている。13年からはWNI気象文化創造センター(同)の所有になった。全長134メートル、最大幅28メートル、排水量1万1600トン。

 SHIRASE5002は、3代目の南極観測船として活躍した「しらせ」の改称名。2010年以来、京葉食品コンビナート脇に係留されている。南極観測に携わったことから、気象研究活動などの一般財団法人「WNI気象文化創造センター」(千葉市)が所有している。
 船内は就航当時のままの状態が保たれており、イベント時などには一般に開放。陸側のサッポロビール千葉工場とで行ってきた見学ツアーはコロナ禍で中止となったものの、感染者数が減ってきたことから4月下旬に一部再開させている。
 コロナ禍が続く間、船内には展示コーナーが設けられ、南極観測隊員らが持ち帰った石などを並べた。南極条約議定書により、現在は研究目的以外の石などの鉱物の持ち帰りは禁止されている。

貴重な南極の石(手前)などが並べられた展示コーナー=千葉県船橋市沖のSHIRASE5002で

 南極観測の歴史などを紹介するパネル展示のほか、観測に用いた各種機器や道具類なども元観測隊員や関係者から譲り受けた。南極にある昭和基地周辺の現在の様子をライブ映像で見られる装置も備えられた。
 南極での建造物などに携わっているミサワホーム総合研究所は船室に「サテライトラボ」を開設。パネル展示や実験装置を設置するなどした。

船室には南極観測に使われた器具や道具類なども展示された

 船体を維持するためのペンキの塗り替えといった作業も進められている。船をPRするためのグッズ販売も始め、専用サイトを開設した。
 船を所有する同センターは「南極をはじめ、身近な自然環境の大切さを知らせる情報発信基地にしたい」と説明。将来的な一般公開に向けては、安全のための防護柵を設けたり、公開時には乗船人数を制限したりすることなどを検討中という。

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