「こども家庭庁」来年4月発足へ 残された課題とは 子どもの声反映の仕組みはできたが…

2022年6月20日 19時51分
 いじめや虐待、少子化などの課題が深刻化する中、子ども政策の司令塔「こども家庭庁」が来年4月に発足する見通しとなった。先の通常国会で成立したこども基本法や改正児童福祉法も含め、政府の取り組みに子どもの意見を反映させる仕組みは整備された。だが教育と福祉を担当する省庁は分かれたままで、専門家は縦割り行政の弊害を懸念する。(柚木まり)
 同庁はいじめの重大事案について、担当する文部科学省と情報を共有。対応が不十分な場合は「強い勧告権」を行使するが、強制力はない。
 名古屋大の内田良教授(教育社会学)は「学校のタブレット配布やスマホの普及で、ネットのいじめは家の中に持ち込まれる。子どもの苦しみは、家庭と学校に横串を刺して見なければならない」と強調。縦割り行政の結果、子どもの「SOS」を見逃してしまう事態も想定して「子どもが苦しむ問題に強い権限を持って調査、対処できる独立組織こそ必要だ」と訴える。
 いじめ以外の課題でも、教育と福祉が重なり合う部分は多い。具体的には不登校の子どもが親から虐待を受けるなど家庭でも問題を抱えていたり、学業や部活動に支障が出たのをきっかけに病気の親族を世話するヤングケアラーだと分かったりするケースがある。こども家庭庁が司令塔機能を果たせなければ、事実確認や事後対応に関する改善が進まない可能性がある。
 一方、改正児童福祉法は児童養護施設などの入所者の自立支援に関して、原則18歳までだった年齢制限を撤廃。都道府県知事や児童相談所長に対して「児童の意見または意向を勘案して措置を行う」よう義務付けた。発達状況に個人差があり、一律に年齢で区切るべきではないという考え方に基づく制度の見直しだ。
 これまでの児童福祉政策は子ども目線に立っていたとは言い難い。今でも22歳までなら施設に残る選択肢はあるが、ほとんどが18歳で退所している。
 子どもが一時保護の継続を求めたのに、児相職員が保護者の意向を優先して親元に帰したところ、虐待被害に遭った事例もある。
 厚生労働省は2024年4月の改正法施行に向け、意見聴取の専門員制度を検討中。しかし、子どもの権利に詳しい熊本学園大の堀正嗣教授は「措置する側の行政から完全に独立し、子どもの声に寄り添える人材が必要だ」と主張する

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