台風にも負けず17歳夢舞台 フィギュア拠点被災、千葉の吉岡さん全日本初出場

2019年12月16日 02時00分

全日本フィギュアに初出場する吉岡さん=本人提供

 9月の台風15号で練習拠点のリンクが使えなくなった千葉県酒々井(しすい)町在住の女子フィギュアスケート選手・吉岡詩果(しいか)さん(17)=植草学園大付属高2年=が、19日開幕の全日本選手権(東京・国立代々木競技場)に初出場する。県外のリンクを転々とする困難を乗り越え、紀平梨花、宮原知子両選手らトップスケーターが集う国内最高峰の大会で滑るチャンスをつかんだ。吉岡さんは「憧れの舞台で試合ができてうれしい」と意気込む。 (中谷秀樹)
 吉岡さんは台風15号が県に上陸した九月九日を忘れない。自宅は一時停電し、拠点の「アクアリンクちば」(千葉市美浜区)の屋根が暴風で吹き飛び、使えなくなったのだ。
 ジュニアクラスの有望株で、昨年のジュニア・グランプリ(GP)シリーズのオーストリア大会で銅メダルを獲得。台風に襲われたのは今季の飛躍に向け、滑り込みが欠かせない大事な時期だった。母親が運転する車で埼玉県上尾市のスケート場まで行って練習した。被災直後は、高速道路が通行止めで一般道は渋滞し、往復八時間かかった。
 「この先どうなるのかなという不安はあった」。アクアリンクは来年六月まで閉鎖となり、東京、神奈川、山梨、愛知など県外にリンクを求めて放浪する毎日。地元選手が優先して使うため、練習が早朝や深夜に及んだり、演技の音楽を流せない一般の利用時間に交じったりした。
 それでも「台風や大雨で、もっと大変な人がたくさんいる。スケートができることに感謝している」と前向きだ。
 山梨県スケート連盟の厚意で、十月末から小瀬スポーツ公園アイスアリーナ(甲府市)を使えるようになり、千葉に近い江戸川区スポーツランド(東京都)でも練習ができるようになった。
 奮闘が実り、今年十一月の全日本ジュニア選手権では得意の三回転ジャンプを決めて五位に入賞し、推薦出場でクラスが一つ上の全日本選手権に挑む。
 中川雄介コーチ(35)は「昔は泣きながら滑る子だったが成長した。環境が日々変わっても、練習に向き合える精神面の強さや集中力がある」と目を細める。
 小学二年の時、二〇一〇年バンクーバー冬季五輪をテレビで見たのがきっかけでスケートを始めて九年。一万人超の観衆が見守る夢舞台で演技する。「今回の出来事で支えてくれる人のありがたみを知った。自分の力を出し切りたい」と力を込めた。

台風15号で雨水が流入し、氷面がでこぼこに荒れたスケートリンク=9月18日、千葉市美浜区のアクアリンクちばで

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