<社説>令和臨調発足 党派超え論じる契機に

2022年6月21日 08時09分
 持続可能な社会実現に向け、民間の立場で提言する「令和臨調」が発足大会を開き、岸田文雄自民党総裁(首相)ら六党代表と議論した。「失われた三十年」に対する危機感は各党が共有しているはずだ。臨調発足を、党派を超えて解決策を論じる契機としたい。
 臨調共同代表の茂木友三郎キッコーマン名誉会長=写真=は発足宣言で「統治構造」「財政・社会保障」「国土構想」の三専門部会の設置を表明。活動期間は三年を予定し、年内に第一弾の提言を取りまとめる、という。
 三専門部会で議論されるのは、経済・社会の停滞や国力の低下など、三十年にわたって問題が顕在化してきたにもかかわらず、政治が真剣に取り組み、成果を上げたと言い難い問題だ。
 政権与党は自らの主張を押し通すことに終始し、野党側も建設的な提案よりも政権攻撃に力を入れる。臨調が促す「超党派の合意形成」は軽視されてきた。そのツケを払うのは結局、国民だ。
 近年は、民間による総合的な政策提言も乏しい。令和臨調が政界にとどまらず、国民的な議論を通じて提言をまとめ、政治の側に実行を迫るとしたら意義はある。
 発足大会には自民、立憲民主、公明、日本維新の会、共産、国民民主の六党代表が出席し、参院選の公約を語った。社会の持続可能性を重視しつつも、党派を超えて課題を解決する姿勢に欠けたことは、選挙前とはいえ残念だ。
 困難な課題に挑むには、政治不信や諦めを解消して民主主義の基盤を強化し、国民の幅広い負託を得ることが必要だ。国政選挙の投票率向上は喫緊の課題である。
 しかし、与野党は先の通常国会で、旧・文書通信交通滞在費など「政治とカネ」の問題や選挙制度の在り方を巡る議論に真剣に取り組まなかった。猛省を促す。
 岸田氏は発足大会で「社会で当たり前のことが当たり前だという感覚を失った途端に信頼や共感はなくなる」と語った。
 その言葉はすべての国会議員や候補者が自らの胸に深く刻み込まねばなるまい。令和臨調発足に当たり、まず確認しておきたい。

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