<コラム 筆洗>酒を勧められ、男はひやではなく、お燗(かん)をつけてほしい…

2022年6月22日 06時31分
 酒を勧められ、男はひやではなく、お燗(かん)をつけてほしいと頼む。ひや酒をやりすぎて、シクジった過去もあるらしい。古典落語の「夢の酒」である▼お燗がつくのをまだかまだかと待っていたところで男は揺り起こされる。すべては夢だった。男はがっかりする。「惜しいことをした。ひやで飲んでおけばよかった」。よく分かる。夢であろうと、せっかくの酒を逃せばもったいない▼夢でなければもっと悔しかろう。本日、公示の参院選。一票の価格はおいくらほどか。考え方や計算方法はいろいろある。参院選のための予算支出がざっと六百億円なのでこれを有権者数の一億人で割れば六百円という数字が出てくる▼いやいや、それはあくまで必要経費。選挙結果は国家予算の配分にかかわってくる可能性があるので国家予算と参院議員の任期なども加味して計算すれば、数百万円になると主張する方もいる▼具体的にいくらとは言いにくいのだが、一票には間違いなくおあしがかかっているし、価値がある。那須川天心−武尊戦のリングサイド席みたいな価格はともかく、せっかくのご招待である。みすみす無駄にすることはなかろう▼それにこの一戦、物価高対応や防衛予算増額の是非など見どころも多い。一票を投じず、ご自分の意に沿わぬ選挙結果に「投票しておけばよかった」と悔やんでも、夢オチではなく現実である。

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