1匹、1杯、1枚… 自由すぎるカニの数え方、正しいのは?

2019年12月13日 11時22分

香箱ガニは「1杯」、ズワイガニは「1枚」と表記されている=10日、金沢市の近江町市場で(久米洋一撮影)

 「カニの数え方って、一匹、二匹? それとも一杯、二杯?」。旬のカニを求めて金沢市の近江町市場を歩いていた記者の目に、ばらばらな表記が飛び込んできた。不思議に思い、その理由を取材してみると…。 (小佐野慧太)

◆値段の差?

 取れたてのズワイガニがところ狭しと並ぶ近江町市場。値札とともに書かれているカニの数え方をみると、「一匹」「一杯」のほか、「一枚」「一尾」という表記も目立つ。 魚介類を販売する「杉本水産」は、ズワイガニを「枚」、香箱ガニを「杯」と表記する。従業員の田方浩和さん(50)によると、カニの数え方は「杯」が基本だが、入れ物に入った何匹かのカニをまとめて「一杯」と勘違いするお客さんもいるため、高級なズワイガニは「枚」と表記しているという。なぜ「匹」と表記しないのか。「高級なカニなのに『一匹』『一つ』じゃ、味気ないしね」と笑う。 「尾」という表記でズワイガニや毛ガニを売る「みなみ」で働く南昌宏さん(37)は「うちは昔から『尾』。『匹』が市場関係者の間で『ビ』と縮められて、こうした呼び方になったと聞いている」と話す。

近江町市場にはズワイガニを「1匹」と表記する店もある=10日、金沢市の近江町市場で

◆生死で区別?

 では、どの呼び方が正しいのか。「数え方の辞典」(小学館)の著書がある飯田朝子・中央大教授(言語学)によると、カニは生きているときは「匹」、商品となって市場に出れば「杯」と数えるのがふさわしいという。理由として、「『匹』はあらゆる生き物に使える。それが、単なる生き物でなく、死んだり、商品になったりした時点で数え方は変わる」と説明する。 「杯」という数え方の由来については、「カニの甲羅が円く、容器のような形をしているためという説が有力です」。ただ、地方によっては「杯」ではなく、「枚」「尾」が一般的なところもあるという。

◆「匹」を使う理由は…

 本紙は、生きているか、商品になっているかを問わず、カニを「匹」と表記する。中日新聞北陸本社校閲課の嶋崎史崇記者は「マグロなどの魚も『尾』『本』でなく『匹』を使う。さまざまな数え方がある動物は『匹』に統一して、読者に分かりやすくしている」と話す。 金沢港(金沢市無量寺町)に近い「いきいき魚市」を訪れてみた。ほとんどの店が「杯」の表記を使っていた。なかに一軒だけ、「匹」を使う店を見つけた。その店のカニは、ポンプで空気を送り込む水槽の中で足や口を動かしていた。 生きているから、「匹」を使っているのだろうか―。従業員の水上真由美さん(58)に聞くと、「違うよ。『匹』が一番、観光客に分かりやすいからだよ」。カニの数え方は、店の判断で自由に決められている。

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