中村さん告別式 平和の志継ぐ誓い 運転手らにも哀悼の意

2019年12月12日 02時00分

中村さんの遺影が飾られた祭壇=11日、福岡市中央区で

 アフガニスタン東部で殺害された非政府組織(NGO)「ペシャワール会」現地代表で、医師の中村哲(てつ)さん(73)の告別式が十一日、福岡市の斎場で営まれ、友人や支援者ら千三百人以上が参列し最後の別れを惜しんだ。同会の村上優(まさる)会長(70)は「遺志ではなく、今も心の中に生きる中村先生の意志として、前を向いて歩む」と述べ、中村さんが命を懸けた事業の継続に全力を挙げると誓った。 
 親族代表としてあいさつした長男健(けん)さん(36)は「父を守るために亡くなったアフガンの運転手や警備の方、残された家族へ申し訳ない気持ちでいっぱい」とお悔やみの言葉を述べた。
 家族とペシャワール会による合同葬で、喪主は健さん、葬儀委員長は村上会長。祭壇には遺族が選んだ柔和な表情の中村さんの遺影が飾られ、ひつぎはアフガン国旗で覆われた。参列者によると、犠牲となったアフガン人運転手ら五人の遺影も祭壇前の台に並んだ。
 参列者からの香典については、遺族の意向を受けアフガン復興事業に充てる。
 同会のスタッフとして二〇〇八年にアフガンで活動中に殺害された伊藤和也さん=当時(31)=の父正之さん(72)と母順子さん(67)も静岡県掛川市から参列。「亡くなったことは信じたくない」と嘆いた。中村さんには上皇ご夫妻から弔意が寄せられた。

◆哲ちゃんお疲れさま 1300人超 涙の別れ

 「哲ちゃん、お疲れさま」「お帰りなさい」。それぞれの思いを胸に、遺影へ別れを告げた。式には国内外から1300人を超す人が参列し、入りきれない人は会場の外にあふれかえった。午後1時ごろ始まった式の冒頭、1分間の黙とうをささげた。
 遺族代表であいさつした長男健さんは、視線を下に落とし冷静な口調で支援への感謝を表したが、父親としての中村さんを振り返ると何度も言葉に詰まり、おえつをこらえていた。
 会場には国内各地のアフガン人が集まった。バシール・モハバット駐日大使は「アフガン人全員が泣いている。中村先生はヒーロー、英雄です」と声を震わせながら弔辞を読み上げた。
 妻尚子(なおこ)さんら親族は祭壇脇で、追悼の言葉に聞き入った。ハンカチで目元をぬぐったり、時折じっと遺影を見上げたりする場面も。疲れた様子も見せたが、参列者にあいさつするなど気丈に振る舞っていたという。
 午後3時半ごろの出棺では、親交のあった人たちがアフガンの国旗が掛けられたひつぎを担ぎ出した。出発を知らせるクラクションが響くと、沿道からも参列者や市民が拍手を送ったり、合掌したりしながら、最後の旅立ちを見届けた。

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