<プロに聞く くらしとお金の相談室>加給年金の支給要件は?

2022年6月23日 10時24分
<Q> 私は64歳、夫は75歳です。夫は年金収入のみで、以前は厚生年金の加給年金が支給されていましたが、私が60歳から老齢厚生年金を受け始めると、加給年金はなくなりました。当時、私は会社員として働き、夫を扶養していたので支給停止は理解できました。しかし、その後、仕事がパート勤務に変わり、社会保険ではなく国民健康保険になってからも、夫の加給年金は止まったまま。もう受け取ることはできないのでしょうか。(愛知県内、女性)

◆配偶者、年金受給で停止も 社会保険労務士・相川裕里子さん

<A> 加給年金は、年金における「家族手当」のような制度。原則として厚生年金に20年以上加入している人が65歳になった時、65歳未満の配偶者や、18歳になる年度末まで、分かりやすく言えば高校生以下の子ども(障害の場合は20歳未満)がいる場合、一定の条件を満たせば、本人の老齢厚生年金に加算して支給されます。
 2022年度の加給年金額は、配偶者分が年間22万3800円、1〜2人目の子どもは1人当たり22万3800円、3人目以降は1人当たり7万4600円。配偶者分については、受給する本人の生年月日に応じて、さらに特別加算が付きます。
 相談者の夫も受けていた配偶者分の加給年金の場合、配偶者が65歳に達すると支給停止となりますが、65歳未満でも支給が止まるケースがあります。その一つが、配偶者に厚生年金の加入期間が原則20年以上あり、老齢厚生年金を受給するようになった時です。
 相談者の場合、60歳で老齢厚生年金を受け始めたとのこと。年金は原則として65歳からですが、誕生日によっては60〜64歳から受けられる「特別支給の老齢厚生年金」というものがあり、相談者はこの年金を60歳から受け始めた、ということでしょう。そして、受給開始と同じタイミングで、夫に付いていた加給年金がストップしたとのことなので、相談者には厚生年金の加入期間が20年以上あり、支給停止の条件を満たしたのだと思われます。
 また、相談者は会社員として社会保険に加入し、年金暮らしの夫を扶養していたとのこと。パート勤務になったら夫を扶養する立場ではなくなるので、加給年金も復活するのでは、という気がするのも理解できます。ただ、加給年金の仕組みは、社会保険における扶養とは異なっています。
 加給年金の対象となるのは、受給者本人によって「生計を維持されている」配偶者や子ども。「生計維持」とは、同居していたり、別居でも仕送りを受けていたりしており、年間の収入が850万円未満である状態のことです。社会保険の扶養に入る条件は年収130万円未満(60歳以上や障害者の場合は180万円未満)なのに比べると、かなり緩やかな条件と言えます。
 例えば、夫は年金収入のみで、妻が年収800万円を稼いでいるような夫婦であっても、夫は加給年金を受けられます。稼いでいる人が家族を支えるという社会保険の扶養とは大きくイメージが違い、違和感があるかもしれませんが、相談者の場合、夫を扶養しているかどうかは、加給年金の支給有無とは関係がないのです。4月からは法改正もあり、加給年金を再び受け取ることはできません。

<詳しく!>停止ルール 4月改正

 22年4月の年金制度改正で、配偶者分の加給年金について、支給停止のルールが変わった。
 65歳未満の配偶者が老齢厚生年金(加入期間20年以上)の受給権を得た場合、以前のルールでは、在職中や失業給付の受給などでその老齢厚生が全額停止となれば、本人に加給年金が支給されていた。
 改正後は、経過措置の適用ケースを除き、配偶者が老齢厚生を受けられる年齢に到達(受給権発生)すれば、実際に年金を受給したかどうかに関係なく、本人の加給年金は支給されない。 (河郷丈史)
<あいかわ・ゆりこ> 1968年、千葉県出身。横浜市で社労士事務所「AIコンサルティング」を夫婦で経営。「世界一やさしい障害年金の本」(学研プラス)の著書がある。

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