コロナの次は物価高騰…飲食店は苦渋の決断 「値上げ許容」発言には憤り<くらし直撃~2022参院選>

2022年6月24日 06時00分
コロナ禍や物価高の影響について語る唐揚げ専門店「くにちゃんずキッチン」の丸山邦夫さん=東京都中央区で

コロナ禍や物価高の影響について語る唐揚げ専門店「くにちゃんずキッチン」の丸山邦夫さん=東京都中央区で

 「値上げしたらお客さまが来なくなるかもしれない。でも、仕入れ価格がどんどん上がっていて、このままではやっていけない」
 オフィスビルの集まる東京都中央区の茅場町駅近くにある飲食店「くにちゃんずキッチン」で、店主の丸山邦夫さん(56)は腕を組み、険しい表情を浮かべた。
 「いい物を、安く、おなかいっぱいに」をコンセプトに、2015年にオープン。自慢の唐揚げ5個入りの定食をランチでは790円で提供する。居酒屋として営業する夜は、唐揚げ2個と飲み物2杯で1000円の「さく飲みセット」を看板に、会社員らが足を運ぶ。
 しかし、コロナ禍で客は3分の1にまで落ち込んだ。特に夜は都の要請を受けて店を閉めた日も多く、要請が解除されても客がゼロの日もあった。少し落ち着いたと思ったところに、仕入れ価格の高騰が襲った。コロナ前と比べて油は2倍、鶏肉は2.5倍に。「昨年春ごろから肉が上がりはじめ、夏ごろから油が一気に上がった」
 「コンセプトがぶれる」と料理の量を減らすことは考えなかった。「お客さまも収入が減っている。うちも収入が減るけど我慢するしかない」と、ロスを減らすなど工夫して値上げせずに頑張ってきた。ただ、仕入れ価格が下がる気配はない。
 追い打ちをかけるように、コロナで売り上げが減った事業者向けに都が設けた融資の返済が近づく。夏に始まる返済は金額が多くなく乗り切れそうだが、問題は来年から始まる返済。今の売り上げでは厳しい。
 葛藤の末、選んだ道は値上げだ。「このままではやっていけない。勝負です」。7月ごろにランチは100円前後、夜は10~15%ほど値上げするつもりだが、「勝算」があるわけではない。「もしお客さまが減ったら、その時考えるしかない」
 しかし、国は、こうした庶民の苦悩を理解してくれているのか…。日銀の黒田東彦総裁が「家計の値上げ許容度も高まってきている」と発言したと聞き、「誰が許容しているのか?」と憤りを感じた。
 「今のまま価格高騰が進めば、つぶれる店は出てくると思う。だけど、飲食店だけを助けてほしいわけではない。みんなの給料が高くならないといけない。国民のことを考えた政治をやってほしい」(加藤益丈)
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