沖縄本土復帰50年の参院選で示される民意 安全保障政策、9月知事選にも影響

2022年6月24日 06時00分
 沖縄戦の犠牲者を悼む「慰霊の日」を迎えた沖縄県。来月10日の投開票に向けて選挙戦に突入した参院選では、ロシアのウクライナ侵攻を受けて防衛力強化が争点に浮上し、与野党は名護市辺野古へのこの米軍新基地建設に関しても主張を戦わせる。本土復帰50年の節目の年に示される沖縄の民意は、安全保障政策や9月に予定される県知事選の行方にも影響を及ぼす。(山口哲人)
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◆自民は「辺野古」推進、野党の多くは異議

 岸田文雄首相は23日、糸満市で開かれた沖縄全戦没者追悼式でのあいさつで、沖縄に在日米軍専用施設の7割超が集中している現状を踏まえ、基地負担の軽減に「全力で取り組む」と強調した。
 あいさつに「辺野古」の3文字はなかったが「成果」という言葉に間違いなく含まれる米軍普天間ふてんま飛行場(宜野湾ぎのわん市)の全面返還は、新基地の完成が条件だ。参院選では、自民党が政策集に普天間から辺野古への「移設を推進」と明記。公明党は「在日米軍再編などを通じた負担軽減」を公約した。
 野党の多くは温度差こそあるものの、現計画に異議を唱える。立憲民主党は新基地建設の中止を掲げた。共産、社民両党も中止、国民民主党はいったん停止を訴える。共通しているのは、与党が民意を軽視しているという問題意識だ。
 背景には2019年2月の県民投票で、辺野古の海上埋め立て反対が7割を超えたにもかかわらず、政府が普天間の危険性除去の「唯一の解決策」という立場を変えていないことがある。日本維新の会は公約で新基地の賛否に触れていないが「自治体、住民との合意形成に必要な手続き法の制定を検討」と記した。

◆首相、米大統領に防衛費増額を伝達、その是非も判断材料に

 首相にとって国政選挙の初陣となった昨年10月の衆院選で、自民党は辺野古を抱える沖縄3区を制し、今年に入ってからも名護市を含む4市長選の全てで推薦候補の勝利につなげた。勢いを維持したまま、参院選では沖縄選挙区で野党系の「オール沖縄」勢力からの議席奪還を狙う。
 自民党が視野に入れるのは「天王山」と位置づける9月の知事選だ。第2次安倍政権以降、政府は新基地建設に突き進んでいるが、オール沖縄系の故翁長おなが雄志たけし前知事、後継の玉城たまきデニー知事は法律に基づく権限を行使して徹底抗戦してきた。衆院選、名護市長選に続いて参院選も押さえれば、知事選に向けて弾みがつき「直近の民意」を前面に工事を続けやすくなるという思惑も透ける。
 沖縄県内の国政・地方選挙を重視するのは、防衛力強化とも無関係ではない。軍備を拡張し、海洋進出を続ける中国をにらんだ南西諸島防衛の最前線だからだ。ここで「ノー」を突きつけられれば、自衛隊の配備や米軍の展開に支障が出る可能性も否定できない。
 首相は先の日米首脳会談で、バイデン米大統領に防衛費の「相当な増額」を伝達した。沖縄にとって人ごとではなく、その是非も参院選の重要な判断材料になる。

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